貿易赤字が初の2カ月連続1兆円台 11月としては過去3番目の大きさ
輸出は9カ月連続増加、数量ベースでも2カ月連続
輸出は前年比18.4%増の5兆9005億円で、9カ月連続で増加した。米欧向けの自動車輸出がけん引した。
数量ベースでも2カ月連続で増加。伸び率は前年比6.1%増と2012年5月の同8.7%以来の伸びを記録した。
品目では、自動車(30.1%増)、鉱物性燃料(77.9%増)、有機化合物(33.1%増)などが増加した。
地域別では、中国向け輸出が8カ月連続で増加した。伸び率は前年比同33.1%増と、2010年4月(同41.3%増)以来の高さを記録した。自動車(241.6%増)や自動車の部分品(109.1%)などが好調だった。
米国向け輸出は前年比21.2%増で11カ月連続で増加。欧州連合(EU)向け輸出も前年比19.4%増と6カ月連続で増加した。
為替レート(税関長公示レート平均)は1ドル98.43円で、対前年比23.3%の円安だった。
輸入は11月として最大、大型航空機輸入の特殊要因も
輸入は同21.1%増の7兆1933億円で、11月としては過去最大を記録した。増加は13カ月連続。原粗油(34.9%増)や液化天然ガス(37.4%増)などエネルギー関連が高水準で推移したほか、米国向け大型航空機など航空機類(240.4%増)の輸入という特殊要因も押し上げに寄与した。
輸入原油単価は前年比22.0%上昇の6万9794円/キロリットルで、ドルベースでは同1.0%低下の112.7ドル/バレルだった。
季節調整値ベースでは、輸出は前月比0.2%減で、輸入は同3.5%増。 貿易赤字は同23.9%増となり赤字が拡大した。
ロイターが民間調査機関を対象に行った調査では、予測中央値は1兆3195億円の赤字。輸出は前年比17.9%増、輸入は同21.4%増だった。
市場では輸出伸び悩みで株価には悪材料との声
11月貿易統計を受けて市場では「高水準となった輸入は、原油エネルギーに加えて、航空機類の増加が影響した。航空機類の輸入増は特殊要因とも言えるが、一方で輸出の伸び悩みが続いており、短期的に株価にネガティブ、債券にポジティブに働く可能性がある」(国内金融機関)との見方が示されていた。
また、「輸出が思ったほど伸びてこない。輸出数量は前年比6.1%増加したが、円安効果は期待ほど表れていない印象だ。長期間続いた円高のせいで電気機器メーカーなどが国内生産を落としており、それを戻すのには相当の時間がかかるということだろう。地域別では東南アジア向けの輸出が弱い。
同地域の内需の低迷が影響しているようだ。一方、輸入は燃料以外でも一般機械などが伸びている。景気回復の影響とみられ、国内経済の構造変化を感じる」(IHSのシニアエコノミスト、田口はるみ氏)との指摘もあった。
(吉川裕子 編集:山川薫)
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