家賃60万円滞納した30代「大手建設社員」の転落 33歳男性の事例だが決してひとごとではない
「もう、追い出してください!」
訴状が玲子さんの手元に届いた頃、玲子さんのご主人である宏さんから電話がありました。
「もう追い出してください。本人とは連絡もつかないし、私たちだってどうしようもないんだ」
宏さんは、とても攻撃的な物言いでした。家主がこれほどまでに滞納を放置しているから悪い、もっと早くに手続きしていれば連帯保証人の負担も軽くなるのに、と怒ってばかりです。おまけに義理の弟である和夫さんのことも、かなり厳しく批判を始めました。
宏さんは弁護士だった
宏さんの言葉の端々には、法律の専門用語が出てきました。手続きの流れも驚くほど把握されています。もしかして司法関係者かも……。
ピンときたわたしは、電話しながら検索してみると、同姓同名の弁護士が存在しました。
「じゃあ、先生は、どうお考えですか」
思い切ってカマをかけて聞いてみると、「訴外で和解をお願いしたい」と専門用語での返答がありました。やはり電話で話している相手は、先ほどパソコンで検索した弁護士その人なのでしょう。
電話をかけてきたときの攻撃的な喋り方は消え、落ち着きを取り戻したようでした。
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