全国の地方鉄道、「大同団結」すれば面白くなる いすみ鉄道前社長・鳥塚氏の大胆アイデア

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そうして実行したのが、ムーミン列車や国鉄型ディーゼルカーの車両導入、伊勢エビを食べられるレストラン列車などだった。このような取り組みによって、多くの人たちがやってきた。そこへ「こういう特産品がありますよ」と言って、いい商品を見せれば買ってもらえる。ローカル線を上手に使えば、地域はよくなる。

レストラン列車を始めた当初は初期需要があり、マスコミにも取り上げられたが、次第に需要が落ちてくる。そこでタイミングよくテコ入れする。5年ぐらいでテコ入れ効果が一巡したら、今度は車両を新しくする、コースを変えるといったさらなるテコ入れが必要になる。こうした経験はほかのローカル線にはなかなかないので、ほかの地域でも適用できるいすみ鉄道のノウハウを提供するような仕事をしていきたい。

コンサルタントのように報告書を出して「こうやってください」と言うのではなく、地域に入り込んでマーケティングや営業までする。それで集客して数字を上げたら、成功報酬として何パーセントかNPOの活動資金に入る。そんなビジネスモデルで、「面白い」と「稼ぐ」を実現させていけるといい。

 ローカルに合わせたルールと運用が必要

――日本の鉄道の問題点は?

津軽鉄道のストーブ列車。客室内にダルマストーブが設置されている(写真:c6210/PIXTA)

鉄道の法律は基本的に1つだ。都市部や大都市間の鉄道は1分1秒を争うが、ローカル線が都会と同じようなスピードアップや安全対策を求められるのでは、「鉄道は重たいから要らない」となってしまう。

津軽鉄道ではストーブ列車が大人気だが、この列車では木造車両にストーブを置くことを認められている。これは、70年近く前に製造された車両には暖房設備がなく、ダルマストーブで暖を取ることが許されていたのを踏襲している。現在は、新しい燃えない素材の車両なのに、車両火災の経験などから車内では火が使えない。このような矛盾が起きている。地方で鉄道を活性化するなら、都市部とは違う基準で運用するやり方があるのではないか。

――ローカル鉄道存続のための資金はどう捻出すればいいでしょう。

第三セクターの鉄道は、建設から80~100年経っているので、どうしてもテコ入れは必要だ。だが、沿線自治体が予算を組むのはもう限界。国もそこまでできない。それなら、民間が資金を出して経営するようになればよい。

例えば、これまではモータリゼーションのせいでローカル線がダメになったと、鉄道ファンの敵だった自動車会社が、ポンと1億円出して赤字分を引き受けたら、社会貢献する企業ということで株価も上がるし、クルマも買ってもらえるかもしれない。ローカル鉄道は大企業各社の奪い合いになるかもしれない(笑)。

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