全国の地方鉄道、「大同団結」すれば面白くなる

いすみ鉄道前社長・鳥塚氏の大胆アイデア

――いすみ鉄道を経営するうえで、大切にしていたのは何ですか。

社長就任の際の使命は、「いすみ鉄道を廃止にしない」ということだった。いすみ鉄道に限らず、鉄道は先代から受け継いだ財産。自分の代で終わりにしたら、笑われる。この財産は、時代に合わせた使い方に変えて、ちゃんと次の世代に渡さなければならない。先人がいるから、今がある。

社長としてやったのは、湿った薪に火を付けること。いろいろな方法を考えて、輸送手段としての鉄道ではなく、観光で火を付けた。薪は赤々と燃え上がって、地域の人たちが暖まった。

その過程では、地域の人たちも火の付け方を覚え、少しずつ燃え広がる楽しさも味わったはず。これからは、地域が自分たちで薪を探してきて火を絶やさないようにしていく段階だ。

いすみ市では、役所の若手職員が中心になって、「美食の街サンセバスチャン化計画」を進めている。港の朝市、イセエビ、真ダコ、いすみ米などの食材や食文化を、一層ブラッシュアップして「美食観光都市」にしようというプロジェクトだ。これには、期待して応援している。

「自動運転」の時代を見据えて

――鉄道はどう変わらなければならないでしょうか。

鳥塚氏はローカル線の活性化についてさまざまなアイデアを持つ(撮影:尾形文繁)

いすみ鉄道を訪れた電車好きのお父さんが子どもにキハの車両を見せて、「お父さんの小さい頃はこういうのが普通に走っていて、毎日乗っていたんだよ。ほらこれは栓抜きで、こうやって使うんだ」と鼻高々に言うと、息子が尊敬のまなざしで見る。そういう親子関係を作れるのが、鉄道。

だが今、若い人が鉄道を選ばなくなってきている。われわれの年代は、学生時代に周遊券を使って日本中を鉄道で旅していたから、まず鉄道を考える。しかし今は、ここからあそこへ行くというと、列車もバスも高速バスも車も、比較していちばん自分に合ったものを選ぶ。長い目で考えて、そこで鉄道が選ばれるようにしていかなければならない。

30年後には今よりも自動運転のシステムが整備されているだろう。「○○鉄道には運転士が乗っている列車が走っているんだって。見に行こう!」というような時代になっているに違いない。そういう未来も見据えて、ローカル鉄道はその価値をどこに置いていくのか、戦略的に考えていかなければならない。

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