ここで最初に感じた少々失礼な疑問をぶつけてみたい。和彦さんはお金持ちで、お金のパワーで若い女性と結婚したのだろうか。
「不動産がいくつかあるので、働かなくても節約すればなんとか生活していけます。でも、決してお金持ちではありません」
和彦さんは特定の分野では有名なミュージシャンだが、教室などは持たずに世界を流浪しながら演奏する道を選んできた。音楽活動だけで十分な生活費を稼ぐことはできない。不動産投資の才能があったために、若い頃から買い集めてきた不動産からの収入だけで家族が生活していけるだけのお金は得られている。
「高い給料よりも不労所得がある資産のほうが大切だと僕は思っています。なぜなら、僕が働けなくなった後でも妻や子どもがお金に困らずに済むからです。妻には僕の介護をしなくていいと言っています。美人の看護師を雇うだけのお金はありますから(笑)」
亜紀さんのほうはそんな先のことには関心がなさそうだ。「お金があるに越したことはない」と言いつつ、尊敬する和彦さんとの楽器三昧の日々を楽しんでいる。
世代を超えて結ばれる男女関係もある
「年齢差を感じることはあまりありません。でも、彼から『あれを持ってきて』と言われたときに素直に動くことができるのは年上だからかな、と思うこともあります。年が近い人から同じことを言われたら、『自分でやりなよ』ですからね(笑)」
2番目の妻との子どもである高校生の娘は、亜紀さんと結婚してから関西の自宅に引き取った。2番目の妻が恋人と一緒になるために、娘を残して家を出てしまったからだ。長く一緒に暮らしていなかった和彦さんには懐かないが、亜紀さんのことは姉のように慕っている。和彦さんにはそれがとてもありがたい。
幸せいっぱいの和彦さんには夢がある。自分が演奏家として第一線に立てるのはおそらく80歳まで。それまでに素質のある亜紀さんにすべてを伝授して、現役を退いた後は彼女の演奏を聴いて楽しむことだ。
「彼女は今でもうまい。これからもっとうまくなるでしょう」
和彦さんに力強い言葉で褒められて亜紀さんはうれしそうにうつむいた。芸術で強く惹かれ合い、世代を超えて結ばれる男女関係もあるのだ。
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