スマホを「1時間以上」見続ける人が陥る悪循環 過度なネット利用が「あなたの判断力」を奪う

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すると1番目と2番目は20分間の制限時間いっぱい考え続けられたのですが、最後のお菓子を我慢させられたグループはほんの数分間取り組んだだけで、全員がギブアップしてしまったのです。

このアメリカの実験が示しているのは、心のエネルギー量は有限だということです。1日の心のエネルギー量があるとすると、それを何に使うかが問題です。 

現代の多くの人はインターネットやSNSにエネルギーを消費してしまい、それ以外に向けられる精神エネルギーが相対的に少なくなってしまっている。

私はそれを「心の漏電状態」と表現しています。インターネットやSNSにつながっていることで、気づかないうちに少しずつエネルギーが漏れている状態です。そして気が付くとバッテリー切れで動かなくなってしまう……。

心の漏電状態が続いて精神エネルギーの総量が落ちると、判断力や意志力も落ちることが知られています。するとネットサーフィンをダラダラ続けたり、目的もなくSNSを開いてしまいます。。それでさらに精神力を消耗し、依存してしまうという悪循環に陥ります。

自分なりの「ルール作り」が大事

私の感覚だと、特に目的がなくネットサーフィンする場合、10分や20分なら気晴らし程度にいいでしょう。ただし30分を超えたら少し長いと考えます。それ以上は依存症の傾向で、1時間を超えたらハマっていると思います。

『ネット断ち』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

「ネットサーフィンは1日30分、SNSは夜9時以降は見ない」というように、自分なりの基準やルールを作ることを勧めます。友達にもそう宣言すれば理解してもらえるはずです。

そして空いた時間は本を読んだり、映画を観るなり、音楽を聴くでもいい。その日のレポートや日記を書くというのも有意義な時間だと思います。あるいは運動不足の人であれば、スポーツやエクササイズなど体を動かすこともお勧めです。

私の知人に、数カ月に1度海外や人里離れた場所に旅行に行く人がいます。いつもは忙しく働き、メールもLINEも即座に返事が来るのですが、その際は完全にオフで、まさにスマホやPCなどの情報ツールも一切オフにしてしまいます。周囲に、そのことを告げて出かけるので、ほとんどトラブルや不自由はないそうです。そんな思い切ったメリハリをつけることも必要ではないでしょうか。

齋藤 孝 明治大学教授

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さいとう たかし / Takashi Saito

1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業後、同大大学院教育学研究科博士課程等を経て、明治大学文学部教授。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。ベストセラー著者、文化人として多くのメディアに登場。著書に『声に出して読みたい日本語』(草思社)、『読書力』(岩波書店)、『雑談力が上がる話し方』(ダイヤモンド社)、『質問力』(筑摩書房)、『語彙力こそが教養である』(KADOKAWA)、『読書する人だけがたどり着ける場所』(SBクリエイティブ)ほか多数。著書発行部数は1000万部を超える。

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