麻生太郎首相に訴える、速やかな解散総選挙こそ最大の“ご奉公”
麻生政権の迷走が止まらない。
打つ手、打つ手がすべて裏目に出るという状況だ。報道各社による世論調査では、内閣支持率は、軒並み危険水域といわれる30%をはるかに割り込んだ状態だ。
そもそも麻生内閣は選挙管理内閣だったはずだ。速やかに衆議院を解散し総選挙を戦うことが本来の使命であり、その「自民党の顔」として麻生氏は選ばれたのである。
最初のつまずきの石は“経済の麻生”という自負を持っていたはずの経済政策だった。第二次補正予算の目玉として打ち出した2兆円の定額給付金である。しかし、この政策は最初からスジが悪かった。
1999年、小渕恵三内閣の下で実施され、最低の愚策だったとの評価がほぼ定着している「地域振興券」とうり二つの政策だ。今回も評判が悪いであろうことは、当然予想されたはずだった。
当初は定額減税として打ち出されたが、最初から批判が続出した。麻生首相に先を見る目があれば、この政策は早々に撤回すべきだった。
推進役の公明党に配慮して撤回できなかったのだろうが、その後の展開を考えると、これは非常に大きな失敗だった。
さらに年収などの受給資格や、実際に支給にかかわる市町村の実務的な困難など、政策の具体的な内容が何度もブレたことにより、麻生首相の定見のなさ、リーダーシップの欠如が浮き彫りになってしまった。この余波は、いまだに続いている。
首相の資質に国民の疑念
こうした定額給付金への批判の強さにおそれをなし、第二次補正予算全体を先延ばしにしてしまったことが次の大きな失敗となった。現在の線でいけば、定額給付金の支払いは、2009年の4月か5月になる。当初は緊急経済対策の目玉だったはずの政策が、である。
日本経済が極めて深刻な事態に陥りつつある状況下でのこうした経済対策の先延ばしは、「首相は本当に経済の実態がわかっているのか」という、麻生首相の現状認識に重大な疑念を国民に持たせてしまった。
こうなると、マンガ好きをアピールするなど若者の受け狙いのパフォーマンスも、むしろまったくの逆効果となっていった。マスメディアでさんざん揶揄された漢字の読み違いなどもあって、麻生氏の首相としての知的水準や資質に大きなクエスチョンマークがつけられてしまった。
少なくとも首相の答弁が、官僚の作文をそのまま読んでいるだけであることは(歴代の首相も似たようなものだったにせよ)、国民の前に明らかになってしまった。
この漢字読み間違い問題は笑い話のように扱われることが多いが、一国の首相の知的レベルが国民から疑念を持たれてしまったという事態は、実はかなり深刻なものだったのではないだろうか。
その結果、内閣支持率はさらに低下し、麻生首相はますます解散を実行しにくくなってしまった。