アップルと中国、電子部品メーカー襲う二重苦 業績下方修正が続々、車載向けに活路?

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近年、アップルが提示する生産計画と実績の乖離によってサプライヤーは翻弄されてきた。下振れによって起こる「アップルショック」も珍しくなかっただけに、同社幹部は「高級スマホの売行きを慎重にみていた」と説明する。

底堅いのはスマホ向け以外も順調に伸びているため。とりわけ車載向けは顧客需要に増産投資が追いつかないほど。投資負担を理由にした値上げ要請に「顧客の6~7割が応じてくれている」という。

近年、日系電子部品メーカーの業績を牽引してきたのはiPhoneを中心としたスマホだった。その成熟化が鮮明になりつつある中、各社とも新たな成長ドライバーを見出そうと必死だ。特に各社の期待が高いのは車載向け。電気自動車(EV)や先進運転支援システム(ADAS)向けに電子部品の需要増が確実だからだ。

頼みの車載も最大市場・中国が落ち込む

TDKの石黒成直社長は「現在10%台後半の車載向け売上高は近いうちに20〜25%を占めるようになる」と力を込める。今年1月に誕生したアルプスアルパイン、アルプス電気が子会社だった車載情報機器大手アルパインを統合したのも車載強化が狙いだ。

ただし、アップルの業績不振の一因となった中国経済の低迷は、期待の車載市場にも影を落としている。今や中国での自動車販売は年間約2800万台、約1700万台の米国を大きく引き離す。その世界最大市場は2018年7月から前年実績割れが続いている。

「村田さんは技術力が高く、引き合いも強く、値上げも順調。ウチは値下げを止めるのが精いっぱい」とほかの電子部品メーカーの幹部はため息をつく。村田製作所のように、電装化で1台数当たりの搭載個数が飛躍的に増加する部品で強みを持っていればともかく、短期的にスマホ向けの低迷を車載向けで補うのは簡単ではなさそうだ。

劉 彦甫 東洋経済 記者

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りゅう いぇんふ / Yenfu LIU

解説部記者。台湾・中台関係を中心に国際政治やマクロ経済が専門。1994年台湾台北市生まれ、客家系。長崎県立佐世保南高校、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了、修士(ジャーナリズム)。日本の台湾認識・言説を研究している。日本台湾教育支援研究者ネットワーク(SNET台湾)特別研究員。ピアノや旅行、映画・アニメが好き。

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