「病院大淘汰」都心立地ですら安泰じゃない過酷

実需次第で再編すれば今の半分でも成り立つ

「健育会に引き継がれたのは、特例措置だった。本来なら病院を廃止したうえで開業という流れになるが、この地域はすでに病床数が多かったため、新しい病院を設立できなかった。しかし、『地域医療を守る責任を果たす』という条件で、特例的に引き継ぎが認められた」 

昨年12月から診療中止になっている石川島記念病院(東京都中央区、記者撮影)

『週刊東洋経済』は、法人の直近3期分の財務諸表を入手した。2015年は約5億円の最終赤字、2016年は約1200万円の黒字を出しているものの2017年は17億円の最終赤字に転じていた。健育会は石川島記念病院以外にも、板橋区の竹川病院や静岡県の熱川温泉病院、神奈川県の湘南慶育病院など7病院を運営している。健育会の担当者は、病院ごとの財務の詳細は明かせないというが、石川島記念病院について「2014年に新設した心臓病センターが地域のニーズに合わず、患者が集まらなかった」と説明した。

この病院の元職員は、こう実情を明かす。

「診療中止には驚かなった。石川島記念病院の赤字によって法人が運営する他の施設の黒字を帳消しにする状態だった。もともと高齢者向けのリハビリや療養の病院に強い法人で、心臓病治療に関しては素人。近くに聖路加国際病院などの有力病院がある中で、素人集団が心臓病センターを構えても儲からないのは当たり前だ。心臓病を手術する医師とのつながりがないから有力な医師を確保できず、周りの診療所からの紹介も得られない」

東京都と医師会からの要請を受けて同院は、心臓病治療からリハビリや整形外科を中心にした診療に切り替えて、今年9月以降に再開を予定している。

病院数が過剰な日本、再編と淘汰の時代へ

この病院のように地域のニーズを見誤れば、たちまち経営が傾いて存続不可能になる。個別の経営だけが問題なのではない。日本は、世界の中で圧倒的に病院数が多い「病院過剰」国だ。人口当たりの病院数は、OECD(経済協力開発機構)加盟国中2位。しかも、患者数(人口)は長期的に減少する。一方で、人口当たりの医師数はOECDの中で26位と、医師の数は多くない。 

日本病院会の相澤孝夫会長は、「日本の病院は天空の城」だと言い切る。「地上で何が起こっているかは見ていない。アンバランスな供給体制を実需に合わせて再編すれば、病院は多くても今の半分の4000病院あれば成り立つ」。

厚生労働省は地域医療体制の再編を目指す「地域医療構想」を掲げ、人口動態を基に2025年のあるべき日本の病床数を試算した。それによると13年度対比で約15万床過剰とされている。多くの地域で再編と淘汰は避けられない。

日本の病院経営は厳しい。医療法人は全体の約34%が赤字経営だ。自治体立病院は自治体からの繰入金を含めなければ約9割が赤字、含めても約6割が赤字である。

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