若桜鉄道の社長はなぜ「船会社」に転職したか

秘策は「忍者高速船」を使ったキャンペーン

津エアポートライン、「忍者高速船キャンペーン」(写真:津エアポートライン)
鳥取県の若桜(わかさ)鉄道で公募社長として3年弱、地域を発展させることでローカル鉄道を活性化することに力を振るった山田和昭さんが、2017年7月から中部国際空港と津を結ぶ「津エアポートライン」という航路にそのフィールドを変えて新しいプロジェクトを進行させている。その名も「忍者高速船キャンペーン」。
SL走行社会実験、スズキのバイク「隼」のラッピング列車とバイクとの並走パレードなど、若桜鉄道で数々の記憶に残る花火を打ち上げた山田さんに、時代と共に変容する公共交通のあり方と、地域との関わりについて聞いた。

船内のあちこちに「忍者」が

―― 忍者高速船キャンペーンというのは、どんな趣向ですか。

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2018年7月13日から中部国際空港が「サムライ×NINJA空港プロジェクト」を展開したのを受け、12月22日に津エアポートラインで開始したキャンペーン。船やターミナルに忍者が潜む設定で、船体を忍者のシルエットのステッカーで飾ったり、客室内などに忍者模様の布を配置したり、天井にそっと覗いている忍者の姿を描いたり。席のポケットに入っている救命胴衣着用法のシートは、忍者がライフジャケットを着用している図柄だ。旅客船ターミナルでは新聞紙の折り紙で忍者頭巾を作ったり、乗船中は忍者文字を解読したりしながら、到着までの時間を過ごせる。

忍者は一般人に紛れて活動するということから、忍者装束の人物が船内を歩いているわけではないが、ターミナルなどでクルーに「しのびの者か?」と聞くとそっと忍者カードを渡してくれるというような趣向も凝らしている。

―― これは、インバウンドを意識してのものですか。

忍者の認知度は欧米では98.5%、アジアでは98.8%と非常に高い。インバウンド誘致には最強の資源だと捉えている。意外に思われるかもしれないが、三重県の観光は国内には強いが、インバウンドは立ち遅れており、認知度も高くない。中部国際空港はこの7年間にインバウンドの利用が増えているが、三重県への流入はわずかだ。下位から追い上げるには、大きくわかりやすい看板が必要。サムライ×NINJAの空港を玄関口として、忍者の本拠地である三重県に向かう航路を忍者高速船としてわかりやすく発信できるようにした。2019年には空港に新ターミナルが開業し、2020年のオリンピック・パラリンピックとインバウンドが増える機会を逃さないように仕掛けている。

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