近く消滅、「2階建て新幹線」は再登場するか? 海外ではフランスのTGVで圧倒的主力だが…

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外国の高速列車で全2階建て列車を走らせているのは、いまのところフランス国鉄(SNCF)だけである。

パリ郊外を走るフランスの2階建て高速鉄道列車TGVデュプレックス。完成後まもない頃に試運転中の後ろ姿(1995年10月3日、筆者撮影)

1981年、最初にTGV(超高速列車)を走らせたパリとリヨンの間(PSE=パリ南東線)はビジネス客も観光客もともに多く、第2世代の主力車両として全2階建て編成のTGV デュプレックスを導入した。最初の編成は1995年に完成し、翌年から第1世代のTGV PSEを置き替え始めた。

そして2007年には、新しいシステムを採用した2階建てTGVの第2世代の製造が開始された。この新型車は、2013年には地中海沿いのペルピニャンから国境を越えてスペインのフィゲラスへの路線でも使われ始めた。さらに2016年にはPOE(LGV東ヨーロッパ線)に、続いてPSEA(LGV南ヨーロッパ大西洋線)での試験も開始され、今やフランスのTGVネットワークは、2階建て編成が主力となった感がある。

ドイツは「くつろぎの空間」を重視

では、もうひとつの高速列車ネットワーク大国であるドイツではどうだろうか。

1991年にデビューしたドイツの高速鉄道ICE。フルサイズの断面を持つ平屋構造を採用。1階建てが基本(1991年6月3日、筆者撮影)
ICEの食堂車は車高が少し高め(1991年6月3日、筆者撮影)

1991年に営業運転を開始した最初のICE(インターシティエクスプレス)に組み込まれた食堂車は屋根が高くなっているが、食事のための空間を、高い天井のゆったりした雰囲気で演出するのが狙いであるにすぎない。これはICE全体のコンセプトである"くつろぎの空間で高速の旅を"に沿うものであり、通常の客室も車両限界いっぱいの幅や高さで作られている。

このような違いが生じるのはなぜか。さまざまな理由が考えられるが、両国の都市間輸送の構造が異なっているというのが、最大の要因ではないか。フランスは各方面の各都市がそれぞれにパリと直接結ばれ、輸送需要がパリに集中している。それに対してドイツでは、中程度の勢力を持つ都市が全国に分散して存在していて、道路も鉄道もそれぞれの都市圏を網の目のように結んでおり、輸送需要が分散しているのだ。

フランスでのTGVとドイツの初期ICEで共通しているのは、動力車を編成の両端に置いていることである。ドイツのICEは、第3世代から日本の新幹線のように中間の車両にもモーターを取り付ける構造に転換した。フランスでも同じような構造をAGVという名前で開発し、イタリアを走る高速鉄道で使われているが、現在の技術ではこのAGVを2階建てにすることは難しいという。ではどうするのか。世界中の鉄道技術者が次世代TGVの動向に注目している。

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