東北各地に増殖「オレンジ色」高速バスの正体 ウィラーの「ピンク」に並ぶ認知度を得るか
新ブランドは「みちのりエクスプレス」を意味する「MEX」に決まった。
南部支社は青森・弘前―東京、八戸・盛岡―東京・川崎など北東北の主要都市と首都圏を結ぶ高速夜行バス3路線を運行している。もともとはウィラーから運行を受託し、ピンク色のバスを走らせていた。しかし、みちのりHDの高速バスブランドの統合に合わせ、今年1月から高速バスのブランドをウィラーからMEXに切り替えた。
「今回の運行切り替えは会社として大変重要な取り組み。乗務員として安全を優先してほしい。そしてお客様に満足いただけるアナウンスや接遇をお願いしたい」。12月26日、岩手県北自動車の鈴木拓副社長は運転士を前にこう述べた。目下、先着順で価格を通常時から大幅に引き下げるキャンペーンも実施中。MEXの認知度向上へ価格面でも後押しする。
「寒空の下で待つ」不安に応える
オレンジ色のデザインはどのように決まったのだろうか。デザインを手がけたのは建築家の川西康之氏。えちごトキめき鉄道の観光列車「雪月花」、土佐くろしお鉄道・中村駅やJR枕崎駅のデザインを行うなど、公共交通のデザインに造詣が深い。JR西日本が2020年春の運行開始に向けて準備を進めている「新たな長距離列車」のデザインも担当している。
2017年、複数のデザイナーによるコンペの中から川西氏のデザインが選ばれた。みちのりHDからのリクエストは「特徴的なデザインにしてほしい」という一言だけ。川西氏がデザインを行うに際してまず考えたのは、利用者は高速バスに対してどのような気持ちを抱いているかという点だった。
「寒空の下、小さなバス停で高速バスを待つのは不安ですよね」と川西氏は言う。バスタ新宿のような大ターミナルから乗車するのとは異なり、地方在住者は自宅最寄りの誰もいない停留所から大都会に向かう。時間どおりにやってこないかもしれないというバス特有の不安も拍車をかける。
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