「Tカード情報提出」CCCに欠けている意識 問題の本質はどこにあるのか

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適切な情報提供なのか、それとも不適切なのかを決めるのは、捜査当局でも、CCCでもないというのに「社会貢献のための情報提供」というのでは失笑を買われても致し方ないところだろう。

CCCは過去にも、個人情報の取り扱いを軽視してきた多数の“前科”があり、今回が初めてのことではない。

「生身の人間の履歴」という意識が低い

2012年9月には取得データを提携先企業で「共同利用」すると会員規約に規定し、その違法性が問われ始めた。翌年10月に規約改定するものの、共同利用そのものは否定せず、共同利用の範囲のみを限定するものだった。

個人情報保護法改正大綱が2014年6月に発表された後には、共同利用ではなく「第三者への提供」であると書き直し、提供停止は会員自身が行う必要があるとの規約へと変更した。だが、規定値では提供が有効になっているうえ、新たな提携企業が追加されるたびに提供停止を会員自身がしなければならないというものだった。

こうした状況が改訂され、第三者提供を簡単に拒否できるようになったのは2015年になってのことだった。

実際には、CCCはデータ利用の可能性に関して留保することが目的だったと筆者は考えている。データ運用の形態も「個人情報の第三者提供に関して」とする図を見る限り、不適切なものだとは断定できない。

では何が問題なのか。

同社が忘れているのは、自分たちが扱っているのが「生身の人間の履歴」であるという意識にほかならない。事業としての適法性や、ルールにのっとっていることなどは最低限のことなのだ。「データの基」を提供する会員は生身の人間である。感情を持つ人間に対する配慮、意識の低さが今後も変わらないようであれば、同様の騒動を何度でも繰り返すだろう。

本田 雅一 ITジャーナリスト

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ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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