「Tカード情報提出」CCCに欠けている意識 問題の本質はどこにあるのか

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近年は実店舗だけではなく、宅配便からネットサービスなど、消費行動のあらゆる場面でポイントが貯まる仕組みを構築して会員数を伸ばし、現在は約6700万人が加入。提携先の業態も多岐にわたっている。

まさに「生活の痕跡そのもの」と言え、実店舗を利用していなくとも、Tポイントに対応したサービスを利用するだけで、とりわけビッグデータを活用した消費行動分析などに活用されていると考えられている。しかし、“生活の足跡”は犯罪捜査にも有効だ。ビッグデータにもさまざまなレベルの情報があるが、CCCが管理しているのは住所・氏名など個人が特定できる会員情報と結びつけられている。

大切な情報の扱いがあまりに軽い

これだけ提携先が広ければ、日常的にTポイントを貯めている会員の利用履歴を時系列で並べていくだけで、細かく行動を追うことが可能だ。履歴は過去13カ月分が保管されており、捜査対象者のカード番号か、住所、氏名、生年月日があれば問い合わせできたというから、迅速な捜査に役立っていたことは間違いないだろう。

CCCの言い分は「犯罪捜査に協力し事件の速やかな解決に協力することで社会貢献しようとした」というものだ。この部分だけを取り出すならば、決して間違っているわけではない。問題は個人の消費履歴を預かる立場にあり、それを活用・事業化しているにもかかわらず、その大切な情報の扱いが軽いことだ。

CCCは捜査機関からの情報提供の依頼に対し、任意で情報を提供していたことになるが、「その情報が本当に正しい目的で使われるのか」は、誰が判断しているのか。

同社がリリースで「弊社の保有する個人情報は年々拡大し、社会的情報インフラとしての価値も高まってきた」と書いているように、情報の価値が高まったからこそ、襟を正して丁寧に扱うべきであることは言うまでもない。

捜査とは公的権力であり、権力であるからこそ、それを監視する仕組みが取り入れられている。捜査権力に対する監視、抑止の役割は裁判所が担っている。だからこそ、情報提出を強制するには、裁判所が発行する捜査令状が必要なわけだ。

次ページ過去にも情報提供では“前科”があるCCC
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