小泉進次郎が描く公的年金「大改造計画」 人生100年時代の安全網をどのように築くか

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――世界的に高齢化で年金額が抑制される中、スウェーデンでは「1980年生まれの人は引退時期を68歳10カ月まで延ばせば、1930年生まれの人と同じ給付水準を維持することができる」といった情報が毎年公表されています。

小泉:あれはいいアイデア。これくらいの年金をもらうためにはこれくらいまで働けばいいと自分の人生設計の中でイメージすることができる。今回は限られた時間の中で行ったが、スウェーデンのようにさらに改善していく不断の取り組みが必要だ。

「スウェーデンのようにさらに改善していく不断の取り組みが必要だ」と小泉氏(撮影:尾形文繁)

――繰り下げ受給では、現在の70歳上限を75歳までに広げることなどを政府は検討しています。

小泉:現在は上限が70歳で最大42%アップだが、1歳遅らせると約8%アップになるので、仮に71歳受給開始なら50%アップになる。有識者の間には「年齢の上限は不要」「当面は75歳まででよい」などいろいろな意見があるが、選択できる年齢の幅を広げていくことは間違いない。

在職老齢年金制度に手をつける

――今年は5年に1度行われる公的年金の財政検証の年です。さまざまな改革プランが議論されていますが、働きながら年金を受給すると収入に応じて年金額の一部または全額が支給停止となる「在職老齢年金制度」の見直しもその1つです。

小泉:人生100年時代は、長く働くことが不利益にならず、一人ひとりの生き方に合わせて前向きに働くことができる環境が必要だ。その意味で、働いていて高い所得があるから、年金額はカットするという在職老齢年金制度は手を付けないといけない。

――65歳以上の在職老齢年金制度を廃止すると、高所得者の恩恵が非常に大きく、安倍晋三政権は高所得者優遇批判への懸念から同制度の見直しについて消極的になっています。

村井:年金には高齢者の所得保障という側面もあるため、高所得者の方に年金の一部を支給しないという在職老齢年金制度には一定の合理性があるのはわかる。だが、セットで考えるべきだ。

たとえば、医療・介護の保険料や自己負担の支払いを所得に応じて負担する形に整理することができれば、高所得者は年金をたくさんもらえるが、医療・介護を受けるときには応分の負担を求められるので、全体としては公平な仕組みとすることができる。在職老齢年金制度だけを取り出して、高所得者優遇というのは視野の狭い議論だ。医療・介護や税制まで含めた、トータルな負担を見ていく必要がある。

田畑:高齢者就業の促進に関してもっと旗を振らないといけない。経営者には昭和モデルとして賃金は安いほうがいいという考えがあるが、高齢者についても意欲と能力で賃金が決まる方向にもっていく必要がある。そのときに、高い給料をもらうことを躊躇させる在職老齢年金制度はネックになる。また、繰り下げ受給を選択した場合でも、在職老齢年金の支給停止部分は、繰り下げによる増額の対象から外される制度となっている。これでは、繰り下げ受給を選択する人が減ってしまう恐れがある。

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