串カツ田中が「地方出店」にアクセル踏む理由 全面禁煙に続き、新施策を打ち出す狙いとは

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研修センター店では不慣れな営業になることから、通常店では399円の生ビールをはじめとするドリンク全品を200円で提供する。安く飲めることで客足も好調で、行列ができる日もある。

福利厚生や待遇の充実にも力を入れる。2018年から、有給休暇とは別枠の夏休みや冬休みの日数を毎年3日間ずつ拡大しているほか、通常年2回支給されるボーナスとは別枠で、四半期ごとに3万~6万円のボーナスを支給する。

1年以内離職率は30%から20%強に低下

こうした取り組みは結果を生みつつある。入社から1年以内の離職率はそれまでの約30%から、足元は20%強に改善した。離職率が下がることで採用コストを削減できる。社員が定着することで、さらに技能や生産性が向上する効果も期待できる。

手頃な価格設定が客数増に寄与している(写真:串カツ田中ホールディングス)

同社は今2019年11月期の業績について、売上高97億円(前期比26.5%増)、営業利益5.9億円(同5.4%増)を見通す。社員の待遇改善に伴う費用に加え、手狭になった本社の移転(今期中を予定)にも大きな費用がかかることから、現時点では営業利益の伸びが若干鈍化する計画を立てている。

だが、既存店の売り上げを前期比2%減と保守的に見積もっているため、禁煙化や地方戦略を継続して客数増を維持すれば、売り上げ、利益ともに上振れする可能性は十分にある。

「ファーストペンギン」。貫社長は串カツ田中ホールディングスの経営姿勢を、リスクを恐れず海に飛び込むペンギンに例えてそのように表現する。同社の果敢な挑戦は、しばらく続きそうだ。

佐々木 亮祐 東洋経済 記者

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ささき りょうすけ / Ryosuke Sasaki

1995年埼玉県生まれ。埼玉県立大宮高校、慶応義塾大学経済学部卒業。卒業論文ではふるさと納税を研究。2018年に入社、外食業界の担当や『会社四季報』編集部、『業界地図』編集部を経て、現在は半導体や電機担当。庶民派の記者を志す。趣味は野球とスピッツ鑑賞。社内の野球部ではキャッチャーを守る。Twitter:@TK_rsasaki

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