串カツ田中が「地方出店」にアクセル踏む理由 全面禁煙に続き、新施策を打ち出す狙いとは

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串カツ田中ホールディングスの貫啓二社長は「5年も経てば、禁煙化で離れたお客様は必ず戻ってきてくれる」と話す(撮影:梅谷秀司)

現在は、同社の店舗の約半数が東京都下だ。国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」によると、東京都での喫煙率18.3%に対して全国平均は19.8%と地方では喫煙率がやや高い傾向にある。地方店強化の方針は、その傾向に逆行しているようにも見えるが、それでも地方へ勢力を拡大するのはなぜか。

串カツ田中ホールディングスの貫啓二社長は1月16日の決算説明会で、「熊本や仙台、北陸(福井、富山、新潟)、北海道の店舗ではすごい数字が上がっている」と話し、2018年にオープンした地方の店舗で手応えを感じていることを明かした。

「いちばんにやることに意味がある」

地方では都市部と比べて世帯人数が多く、家族客の需要が大きい。ファミリー層を重要顧客と位置づけた同社の戦略が、地方でより効果を発揮したというわけだ。串カツ田中の串カツは1本100円~120円(税抜き、以下同)が中心で、客単価が2400円ほどと低価格である点も、所得水準が都市部と比べて高くない地方でも受け入れられる大きな要因になっている。

店舗数の増加に加え、メディアでも取り上げられる機会が増え、全国的に認知度が向上したことも後押しした。これには「いちばんにやることに意味がある」という同社の姿勢もプラス作用している。

全面禁煙のみならず、2017年2月から政府が「プレミアムフライデー」を奨励した際も、一足早く1月から営業時間の前倒しや割引キャンペーンを行い、注目を集めた。「一番に手掛けることでメディアでも話題になり、『串カツ田中はファミリーを大事にする会社』と日本中に宣言できる」(貫社長)。

地方への出店加速に向け、人材の確保や育成も着々と進める。今年4月に入社する新入社員を60名確保し、西日本を中心に「研修センター店」を新たに4店舗増設する計画だ。研修センター店は現在、2018年4月にオープンした東京・日本橋小伝馬町に1店舗ある。アルバイトを置かず新入社員だけで営業する店舗で、新人教育を専門にする社員を配置して指導に従事させる。

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