リッチモンドホテルが圧倒的に愛される理由 朝食にこだわる顧客満足1位ビジネスホテル
福村氏が語る会員とは、年会費無料の「リッチモンドクラブ会員」で、部屋の予約や宿泊料金などが優遇される。会員カードを発行するホテルは珍しくないが、その利用率が高い。同社の持ち味のひとつが、朝食付きプランで提供されるような、地方色豊かな朝食だ。
「現在は北海道帯広市から沖縄県那覇市まで、直営で39施設ありますが、食事内容はすべて違い、例えば『リッチモンドホテル帯広駅前』では、帯広名物の豚丼も用意しています。このほか、山形では山菜そばや芋煮、大阪ではバッテラすし、たこ焼き、長崎では皿うどん、地元で捕れたアジのみりん干しなどもそろえています」(福村氏)
ここまで凝った朝食を提供できるのは、グループ企業としての強みがある。あまり知られていないが、同ホテルの親会社は「ロイヤルホスト」や「天丼てんや」などを運営するロイヤルホールディングスだ。ファミレスのほか、国内主要空港にレストランも構え、スケールメリットで提供できる食材調達力が、「個性的な朝食」を支えている。
「早朝の出発」や「食欲がない」などで朝食をとらない人もいる。その場合は朝食券と引き換えに、グループ会社のベーカリーで作られた「ホテル特製ケーキ」を渡す。現在は年間約3万個が提供されるほど人気だ。そのケーキを持参した家庭や職場に「食にこだわるホテル」を知ってもらうねらいもある。
「大浴場」や「アメニティ」にこだわる人
もう少し引いた視点で、出張者が「宿泊先を選ぶ基準」を見ていこう。
数年前のデータだが、楽天トラベルが実施した「出張に関するアンケート」(2014年10月29~31日に調査)によれば、ホテル選びのトップ10は、上から順に「価格」「立地」「朝食の質、量」「ベッドの大きさ、寝心地」「部屋の広さ」「接客サービスの質」「楽天スーパーポイントが貯まる」「大浴場の有無」「ホテル独自の会員特典」「アメニティの種類、質」だった。
リッチモンドホテルが注力する「朝食」は3位で、8位の「大浴場」は設置していない。
さまざまなビジネスパーソンに話を聞くと、「大浴場のあるビジネスホテルには、結構こだわります」(20代女性、40代男性)という声も目立った。それもあってか、“大浴場派”で、リッチモンドホテルを選ぶ人は多くなかった。
競合では「スーパーホテル」や「ドーミーイン」が大浴場をウリにする。一方、設置には多額の費用がかかり、メンテナンス費用もかさむ、大浴場を設置するかの経営判断は分かれるようだ。別の取材では「数年前に開業したJR駅前のホテルに、大浴場設置を考えたが、悩んだ末に見送り、ほかの設備に変えた」(関東地方のホテル経営者)という声も聞いた。
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