4月に誕生、世界鉄鋼3位「日本製鉄」の実力度 世界的な「鉄冷え再来」をどう乗り切るか?

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新社長に就く橋本氏は「基本方針は総合力世界ナンバーワンしかない。技術、コスト、グローバル展開力を追求して明確な競争優位性を確立したい」と意気込みを語る。

「総合力世界ナンバーワン」とは、建築用など汎用の鉄鋼製品を大量に造る生産量を追い求めるのではなく、技術力を伴う鉄鋼製品で中国の鉄鋼会社などライバルと勝負することを指す。

新日鉄住金は「鉄のデパート」と自ら呼ぶほど、鉄鋼製品が多岐にわたっている。そのうち、収益力の高い個別品種に強い鉄鋼会社をグループ化して再編・強化することで、全体の収益を引き上げることを狙う。日新製鋼や特殊鋼2社を傘下に加えたのは、その典型例だ。

中国勢には技術力で対抗

今年1月に日新製鋼を完全子会社化するに伴い、日新製鋼と新日鉄住金のステンレス鋼板や鋼管事業を4月に統合する。またオバコ社(2018年6月買収)と山陽特殊製鋼は、特殊鋼の中でも自動車の回転部品などに使われる軸受け鋼が得意。欧州のオバコ社、アジアの山陽特殊製鋼で地域補完をしながら技術交流を行い、自動車メーカーの高い要求に応え、高付加価値化を進めることが狙いだ。規模に勝る中国勢には技術力で対抗する。

一方、グローバル展開は橋本氏が自ら手掛けたインド進出案件がカギを握る。2018年10月末、多額の債務を抱えて競売にかけられていたインド鉄鋼4位・エッサール社の落札者として、アルセロール・ミタルと新日鉄住金連合が債権者委員会に選定された。インドはビルや橋、道路などインフラ建設や自動車など、多くの産業で鉄の需要が伸びている成長市場だ。エッサール社を買収し、急成長するインド市場を取り込むのがどの会社なのか。世界の鉄鋼業界の注目を集めていた。

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