30・40代転職希望者は注意!「年金の移管問題」

中途退職時にもらう退職金は実は2種類ある

一般的な持ち運びの選択肢は、以下の3つになります。
① 元の勤務先の確定給付企業年金、厚生年金基金に資産を預かってもらって60歳以降に受け取る
② 厚生労働大臣の認可団体である企業年金連合会に預けて、公的年金に上乗せして終身で受け取る
③ 確定拠出年金(企業型、または個人型)に移して自分で運用する

退職時、すぐに使うあてがないのであれば、まずは①から検討するのがいいと思います。なぜなら、①も②も、預けている期間の金利が市中の預金金利より高く、特に①であれば2%ぐらい付与してくれるケースも珍しくありません。ただし、それだけいい条件ですから、①は勤続年数20年以上に限るなど、利用できる方が制限されています。会社によって、勤続年数や年齢による条件、さらに、60歳以降の受け取り方の選択肢もさまざまです。一時金だけでなく分割して受け取るなど、会社によって仕組みが違うので、現在の勤務先に確認してください。

転職時の退職金は運用益非課税の「iDeCo運用」が有利

②は企業年金連合会に事務手数料を払って資産を移し、厚生年金に上乗せして終身で受け取る方法です。資産を移したときの年齢によって、0.5%から1.5%の金利を付与してもらい、厚生年金同様に終身で受け取ることができます。さらに、万が一、80歳より前に亡くなってしまった場合には、80歳まで生きていれば受け取るはずだった金額相当を、遺族の方が一時金で取ることができます。現在の金利情勢からすれば、検討してみる価値は大いにあると思います。自分のケースを企業年金連合会のリーフレット「通算企業年金のおススメ」の試算などで確認してみてください。

③は転職先の企業型確定拠出年金、または個人型確定拠出年金(iDeCo)に移して、その後の積立額と一緒に自分で運用していくという方法です。低コストの投資信託が運用商品としてラインナップされていますし、運用益は非課税ですから、課税口座で運用するよりコスト面でとても有利な方法といえます。

確定拠出年金は個人が主体的に資産を管理するので、資産の受け入れ、持ち運びが簡単であることが特長の1つであり、「確定給付企業年金」、「厚生年金基金」、「確定拠出年金」いずれの制度からも資産を自分の確定拠出年金口座へ移し入れることができます。しかし、いったん確定拠出年金の口座に入った資産は、老後資金として少なくとも60歳まで引き出すことが認められていません。遠い将来のために備えることを会社ではなく法律がサポートしてくれます。

今回は、中途退職時の退職金を60歳以降の老後金として残す仕組みをご紹介しました。いずれの方法も退職金を受け取る前に、現在の勤務先や制度事務局に他の制度への移管の意思を伝える必要があります。あとで「しまった!」ということがないように事前に選択肢を確認し、できればうまく活用して老後に備えてください。

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