ゴーン逮捕で浮き彫りになる「日本の特殊性」

ゴーンと日産をめぐる7つの疑問

日本の刑事司法制度は検察と裁判所の距離が近く、有罪率は99%に達する。日本の検察は被疑者を最大23日間にわたって勾留することができる。そして新しい容疑で再逮捕すれば、同じ被疑者をまた新たに23日間にわたって勾留し続けることができる。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは11月27日の社説で次のように書いた。「ゴーン氏は異様な取り調べに耐えている」。捜査の透明性が高まらなければ、「日産が仕掛けた不意打ちは日本経済界の汚点となるだろう」――。

こんな状況で日本の刑事司法制度は、自由主義の資本主義国で一般的に認められている法的権利と保護を被疑者に与えているのかどうかが問われている。これが5つ目の疑問である。

日本企業トップの報酬は他国に比べ極端に低い

6番目は役員報酬に関するものである。ゴーン氏が報酬を過少申告していたかどうかはさておき、日本の大企業トップが受けとっている報酬は先進7カ国(G7)の中では極端に低い。10数年ほど前に私は日本屈指の金融機関で社外取締役を務めていたことがあるが、CEOの年俸が100万ドルに届かないと知って驚いた。米国の有力金融機関のCEOであれば、報酬はこの30倍を優に上回っていてもおかしくない。

ゴーン氏は他の日本企業のトップに比べ明らかに高い報酬を受けとっていたことから、日本では繰り返し批判の対象になってきた。だが同氏の2017年の年俸は1700万ドルで、ゼネラル・モーターズ(GM)のメアリー・バーラCEOの2200万ドルより少なかった。以前、ゴーン氏の報酬はフォード・モーターのアラン・ムラーリ元CEOの半分だと報道されたこともある。

確かに日本では、巨大な年収及び資産格差は一般に好ましいものとは考えられていない。だが、ゴーン氏に批判の矛先が向けられたのは、巨額報酬だけが原因ではなかった。「コストキラー」の評判にたがわぬ豪腕で日産を立て直したことも、批判を招く原因になっているのだ。

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