ゴーン逮捕で浮き彫りになる「日本の特殊性」 ゴーンと日産をめぐる7つの疑問

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そこで2番目の疑問である。日本企業は一般に、こうした問題が起きた場合は自社内で処理しようとするものだが、日産はなぜ、ゴーン氏の逮捕・勾留に向けて特捜部に協力したのか。

以上の疑問は3番目の疑問へとつながっていく。それはすなわち、ルノー、日産、三菱自動車によるグローバルな3社連合のあり方に関するものだ。

日産にとってルノーは「お荷物」と考えられるように

ルノーとゴーン氏は1999年に日産を破綻の瀬戸際から救い、ルノーは日産の発行済み株式の43.4%を握る筆頭株主として経営を支配するようになった。反対に日産はルノー株の15%しか保有しておらず、しかもこれらの株式には議決権がない。しかし復活を果たした日産は今や売上高と利益でルノーを凌駕する存在となっている。ルノーの2017年12月期決算で、日産の利益貢献は30億ドルを超えた。

日産にとって、ルノーは「お荷物」と考えられるようになってきていたということだ。「すねをかじられている」とさえ考えられていたかもしれない。

日産社内では、ゴーン氏が一段とルノー側の人間として振る舞うようになったとの見方も強まっていた。報道によれば、日産の西川廣人社長兼CEOの首をすげ替え、ルノー寄りの人間を後釜に据える人事が水面下で進行中との観測もあった。こうした人事が実現した暁には、ゴーン氏は日産をルノーに吸収合併するに違いない――。日産社内では、そんな憶測が飛び交うようになっていたのではないかとも報道されている。

外資によるこのような買収は、日本政府はもちろん、まさに日産自身が忌避してきたものにほかならない。日産は1999年にルノーに救済を仰いだ際も、救済合併となることだけは回避した経緯がある。

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