名神高速道路と「国鉄」駅を結ぶ意外な接点 起工の地・京都から見える高速道路の歴史

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話を名神高速道路に戻そう。名神の起工から60年が過ぎ、今春には新名神高速道路の川西IC―神戸JCT間が開通、2019年3月にも同じく新名神の新四日市JCT―亀山西JCTの開通が見込まれ、名神は残る草津―高槻の区間を除いて新旧2本がルートを変えて並行する充実の時代を迎えようとしている。開通時はガラガラだったという事実を聞くにつけ、まさに隔世の感がする。

2019年は各高速道路で新開通が続く

2019年3月までには、東北中央自動車道の山形上山IC―南陽高畠ICの開通も予定されており、山形新幹線の福島―山形間に並行する区間が全通するため、首都圏から山形市方面へのアクセスもさらに改善されそうだ。

2019年度(「年度」なので、実際の開通は2020年3月までまたがる)には、さらに中部横断道の新東名―中央道を結ぶ部分(新清水JCT―双葉JCT)の全通が見込まれていて、静岡と山梨・長野方面との行き来の時間短縮も実現しそうだ。

一方、高速道路での逆走事件が頻発し、昨年、東名高速道路でのあおり運転によるトラブルで死亡事故が発生したように、命に関わる運転が後を絶たないどころか、むしろ悪化している状況は早急により強力な対策が必要だ。

また、インバウンド(訪日外国人)の激増により、日本の高速道路の運転に不慣れな外国人ドライバーが増えていることも、対応するさまざまな施策が始まっているとはいえ新たな事故やトラブルの増加につながりかねず、こちらも今後注視していく必要がある。

また、この冬を前に決まった「一部区間で異例の降雪時に従来通行止めとなる状況でタイヤチェーン装着車のみ通行を可能にする施策」(メディアが「タイヤチェーン装着義務化」と伝えている施策)も、実際に実施されることがあるのかどうか気になるニュースである。気候変動が予想以上に激しくなっている昨今、平成の次の御代も安全で快適な高速道路であってほしいと願いながら、新年を迎えたい。

佐滝 剛弘 城西国際大学教授

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さたき よしひろ / Yoshihiro Sataki

1960年愛知県生まれ。東京大学教養学部教養学科(人文地理)卒業。NHK勤務を経て、NPO産業観光学習館専務理事、京都光華女子大学キャリア形成学部教授、リベラルアーツ・ジャーナリスト。『旅する前の「世界遺産」』(文春新書)、『郵便局を訪ねて1万局』(光文社新書)、『日本のシルクロード――富岡製糸場と絹産業遺産群』(中公新書ラクレ)など。2019年7月に『観光公害』(祥伝社新書)を上梓。

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