海賊版ネット画像入手が「個人の罪」になる日 厳格な法律適用はコンテンツ利用を阻害する

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

音楽における同様の事例として、アイドルグループAKB48の楽曲である『恋するフォーチュンクッキー』や、ディズニー映画『アナと雪の女王』の主題歌である『Let It Go』などの曲に合わせてユーザーがダンスを踊った動画をYouTubeに投稿して話題を呼んだというものがある。

この場合、GoogleはJASRACなどの著作権管理事業者と包括的な利用許諾契約を締結しているため、詞や曲の著作権については、利用者は権利処理を自ら行うことなく楽曲を利用することができるようになっている。ダンスの振り付けも著作権保護の対象となるのだが、こちらについては、明確な利用許諾はないものの、事実上の黙認がなされていたというかたちだ。

さらに2016年にはドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』が大ヒットし、視聴者などが主題歌である『恋』の楽曲に合わせた『逃げ恥ダンス』を踊って投稿することが話題となった。

こちらの事例では、権利者側が、ユーザーが一定の利用条件を遵守している限り、動画の削除手続きを行わないというかたちで、積極的に利用を認めていた。インターネットにおけるUGC(ユーザーが自発的に制作したコンテンツ)をうまく活用することで、プロモーションを成功させた好事例である。

変革を迫られるコンテンツビジネス

インターネットをはじめとするテクノロジーの進化によって、コンテンツを楽しむ環境は大きく変わってきていることは明らかだ。動画ではアマゾンプライムやネットフリックス、音楽ではアップルミュージックやスポティファイといったようなサブスクリプション型(定額利用サービス)のビジネスモデルが主流となりつつあるし、ゲームでもかつてのようなソフトウェア売り切りモデルよりも基本プレイ無料のオンラインゲームが隆盛である。

これらの変化を見ればわかるとおり、コンテンツの消費モデルが、かつてのような「所有する」というかたちから、「アクセスする」というかたちに変わってきている。これに伴い、例えば音楽業界では、かつてはレコード屋CDの売り上げがメインであったが、インターネットが普及するに従って、楽曲を広く知ってもらうことで、アーティストの知名度が高まり、その結果としてライブのチケットやグッズ販売につながるというようにビジネスモデルも変わってきている。

次ページ法規制は補助的役割に
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事