株価はやっぱり2019年半ばに向け下落する 短期で株価を見て右往左往しないほうがいい

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このように、アメリカの対中政策ならびに逆イールドカーブを巡る、アメリカの株価の動揺は、短期的にはやや行き過ぎていると考える。つまり、同国の株価がリバウンドし、それが日本株にも下支え要因として働く、という局面は、いったんはありうるだろう。

しかし、トランプ政権の輸入関税の引き上げが、アメリカの家計や企業の負担になる(大手自動車メーカーのゼネラル・モーターズも鉄鋼・アルミ製品の関税引き上げによるコスト増などで、アメリカ国内のリストラを発表)ということは中期的な流れとしては生じそうだ。また、少し先になるが、イールドカーブの逆転がアメリカ経済の後退を示唆している点は事実だと言えよう。短期的には行き過ぎだとしても、中期的に見れば同国の株価が通商問題とイールドカーブ逆転を背景に下落した、というのは、正当な流れと言える。

前回のコラム(米市場で密かに語られる悲観論「3つの根拠」)で詳しく語ったので繰り返さないが、2019年半ばにかけては、アメリカ経済が後退に陥り、それが日本経済にも打撃となる(加えて消費税引き上げも)うえ、米株価と米ドルの下落も日本株を襲う、というシナリオは変わらない。つまり、「世界株の下落基調、すなわち日経平均は短期的に戻っても(戻らないかもしれないが)弱気相場が続く、という展開が、残念ながら的中しそうだと懸念している」という見解を維持する。

こうした展望を前提とすると、投資家が最もやってはいけないことは、2019年株価が大きく下落したところで売却することだ。いったん底値に近いところで売り払うと、その後の戻りには、たいがいついてはいけない。

11日はイギリスで議会採決、欧州情勢にも要注意

さらに先行きを展望するうえでは、欧州情勢も要注意だ。ドイツの政局の政局は依然不透明であり、(12月7日(金)の与党CDU党首選では、アンゲラ・メルケル氏が推していたアンネグレート・クランプ=カレンバウアー氏が当選したが、安定化したとは言えない)、イタリアの膨張的な予算、フランスの大規模デモなどに加え、11日(火)には、イギリス政府とEU間で合意した同国のEU離脱案について、イギリス議会での採決が行われる。

仮に議会で離脱案が否決されても、まだ政府あるいは議会が修正案を作成して提出し、それが後日可決される可能性は残る。しかし市場には、今週の議会否決によって、離脱案が整わないまま離脱するという、いわゆる「無秩序な離脱」に突き進むことが確定した、との誤解が広がり、世界の株価が大きく下振れする展開も懸念される。

このように、短期的に波乱要因が多く、当面の日経平均は上下に大きく動くことが懸念される状況だ。したがって、株価の中期予想は重要だが、短期的な日経平均株価の予想をすることに、ほとんど意味が失われつつあると考える。それでも予想レンジを提示するとすれば、今週の日経平均は、2万0900~2万2000円を見込む。

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