ブレーク寸前「中東料理」がじわじわきている インパクトはないがナチュラルでやさしい
来年は中東料理がブレイクするか――。
クックパッドがこのほど発表した2019年の食トレンド予測のキーワードに、フムスやファラフェルの主な材料となるひよこ豆のレシピがランキング入りした。すでに肉料理のケバブで知られるトルコ料理は日本でも知られるようになったが、ひよこ豆を多用する中東料理も人気が高まりつつある。
中東は、テロや内戦といったきな臭いイメージが先行しがち。そんなイメージが食文化を通じて、少しは変わるかもしれない。少しずつ浸透し始めてきたフムスやファラフェルだが、「何だそりゃ」という読者も少なくないだろう。
ビーガンやベジタリアンから人気に火が付いた
筆者が中東料理に出会ったのは、今から25年も前のこと。東南アジアを旅した時だった。たまたま入ったレバノン料理店で、ひよこ豆をゆでてペースト状にしたフムスの滑らかで濃厚なおいしさに衝撃を受けた。そんなフムスは、今では世界的なブームになっており、アメリカやイギリスではすっかり定着している。
背景には、完全菜食主義を意味するビーガンやベジタリアン、マクロビオティックをマドンナらセレブや芸能人が実践し、中東料理のフムスなどはファッショナブルで健康や美容にいいという印象を持たれていることがある。
フムスの材料は、ひよこ豆にゴマペースト、オリーブオイル、レモン、ニンニク、クミンなどのスパイス。完璧なビーガン食だ。ユダヤ教やキリスト教、イスラム教といった一神教発祥の地である中東。キリスト教徒らは一定期間、動物性の食物を断つ習慣がある。こうしたことから中東料理は、ベジタリアンやビーガンに積極的に取り入れられている。
食文化や料理は、人の移動や交流によって伝播していく。筆者が暮らしたロンドンのスーパーやコンビニでは、フムスなどの中東料理がごく普通に売られていた。イギリスでは、1960〜1970年代の労働力不足から積極的に移民労働者を受け入れ、今ではアジアや中東出身の移民がすっかり定着。
ロンドンで生まれる赤ちゃんの名前で最も多いのが、イスラム教徒の名前であるムハンマドという統計結果を見ても、いかにコスモポリタンな街であるかがわかるだろう。イギリスは料理がまずいと言われたのは、もはや昔の話。ロンドンでは、こうした多様な民族や人種に相応した多彩な食文化が広がっている。
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