ユーロ圏のインフレ加速、失業率も改善 ECBの政策対応をめぐる圧力緩和か
[ブリュッセル 29日 ロイター] -29日に発表されたユーロ圏の経済指標は、インフレ率の伸びが加速すると同時に、失業率は約3年ぶりに改善するなど、経済の緩やかな回復の流れを示す内容となり、市場では欧州中央銀行(ECB)の政策対応をめぐる圧力は和らぐともみられている。
欧州連合(EU)統計局によると11月のユーロ圏消費者物価指数(CPI)速報値は前年比0.9%上昇、10月の0.7%から伸びが加速し、市場予想の0.8%を上回った。エネルギー価格が下落する一方で、食品価格の値上がりなどが指数全体の伸びを押し上げた。
また10月のユーロ圏失業率は12.1%と、前月の12.2%から低下、2011年2月以来、約3年ぶりに改善した。市場予想は12.2%だった。
ベレンベルク銀のエコノミスト、クリスチャン・シュルツ氏は「来週理事会を開くECBにとっては双方とも歓迎すべき内容ではないか」と話した。
こうしたなか、量的緩和(QE)など一段と積極的な措置に関して、クーレECB専務理事は、ユーロ圏のインフレ見通しを踏まえると、ECBが米連邦準備理事会(FRB)のような大規模な資産買い入れを行う必要性はないとの認識を明らかにした。
理事は日経新聞とのインタビューで、QE政策をめぐって「ECBが取りうる金融政策手段の一つであり、原理的には可能だ」としつつも「ECBが日銀やFRBと同様に大量買い入れに踏み切るべきかという点については、現在のインフレ見通しを踏まえると、妥当とは思わない」と語った。
各国の経済情勢を比較してみると、依然一枚岩とは程遠い状況が続いている。例えば失業率などはオーストリア、ドイツが5%程度なのに対し、ギリシャやスペインは27%程度と大きな開きがあるほか、域内全体の失業者数は1900万人に及んでいる。
メルシュECB専務理事は、ユーロ圏は危機から脱却しつつあるものの「山頂はまだ先で霧に覆われている」と語った。
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