上司の悪口ばかり言う先輩を撃沈させる一言 ネガティブな感情が一瞬で収まる

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ミス以外では、強い言葉ですが「過労死」を持ち出すこともありえます。「変な話ですが、社員が過労死になるとうちは本当に終わりなので……」。あまり頻繁に口に出せる言葉ではないので、ここぞというときに使ってください。おだやかで安全な言い方としては、「働き方改革」も有効です。政府の方針でもあるので、「今働き方改革を進めているところでして」と言うことで、ディフェンスが多少ともしやすくなります。

相手が求めているのはあくまで結果です。相手が理不尽な要求をしてくるときは、その結果を得るためにはこのアプローチしかない、と思い込んで言ってくるのでしょう。ですからこちらから、「その結果を出すためには、たしかにそのAのアプローチもありますが、それだと突貫作業になってしまってよくないので、Bのアプローチでこの結果を出せるように試してみます」という具合に代替案を提示するのです。とにかく、何かしらの代替案を示さなければなりません。

相手が納得する代替案を提示することができれば、向こうにも「この企業は工夫してくれるな」という印象を持ってもらえます。こちらに有利な代替案を提示することで、かえって信頼関係が強固になる可能性もあるのです。

なかなか言ってもわからない後輩には「メモ」を

ケース2:ミスを繰り返す部下に注意したい

(メモを渡しながら)「これを毎日見るように」

部下に対して「何度言ったらわかるんだ!」と注意したくなることは、上司ならよくあると思います。

たとえば、取引先との交渉の場で会話を上司に任せたまま一言も発しないとか、提出物がいつも遅れるといった話を聞くことがあります。仕事に対する“慣れ”の問題でもありますが、キャラクターに負う部分も大きいので、そう簡単には修正されないようです。それを上司がその都度注意していると、部下のほうも嫌気がさしてくる。お互いに不信感を持つようになり、コミュニケーションをとりにくくなるおそれもあります。

そんな事態を避けるには、「話す」より「書く」ほうがいいかもしれません。交渉の席での姿勢が問題なら、「最低3つの質問を用意する」とか「締め切りの1日前に提出する」などとメモに書いて渡せばいい。

口頭より文字のほうが、重みがあります。しかも渡すのは一瞬なので、時間も取りません。まして上司の手書きであれば、さすがにむげにはできないでしょう。大きめの付箋に書いて「パソコンのモニターの脇にでも貼っておくように」と言えば、毎日見るようになります。「何度言ったら~」と説教をする必要もなくなるわけです。

メモを渡すのが有効なのは、注意するときばかりではありません。少し前、サッカーの英プレミアリーグ、マンチェスター・ユナイテッドの監督である名将ジョゼ・モウリーニョが、交代した選手を通じて試合終盤に主力のマティッチ選手にメモを渡すシーンが話題となりました。私も長くサッカーの試合を見ていますが、こういうシーンは見たことがありません。

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