企業で「Mac」がどんどん導入されているワケ アップルの驚きのエンタープライズ戦略とは

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一方のアマゾンは、急成長を続けているAmazon Web Serviceの最大顧客がアメリカ政府や行政機関になりつつある。こうしたセキュリティ懸念は、規模も名誉も大きな顧客の案件を失注させるには十分だ。

サーバーレベルではなくても、情報の流出は問題になる。個人がスマートフォンやタブレット、コンピュータを外出先で紛失した場合、当然情報流出のリスクが広がることになる。ソフトウエアでのセキュリティで縛っても、ハードウエアが手薄ではリスクを潰しきれない。

アップルがエンタープライズ市場で確立したいブランドこそ「セキュリティ」なのだ。

「T2チップ」の役割とは?

アップルはiMac Pro、MacBook Proといった上位モデルのMac製品に加えて、廉価モデルのMacBook AirやMac miniにも自社設計のコプロセッサー「T2」を搭載した。このことは、廉価モデルをビジネス市場に大きく売り込んでいこう、という意志の表れと言える。

T2チップはさまざまな役割を担っている。たとえばFaceTime HDカメラの画像処理やオーディオ処理、そして高圧縮でビデオや写真を保存できるHEVCエンコーダの役割も担う働き者だ。

T2チップの最大の役割は、セキュリティだ。

MacBook Airには指紋認証のTouch IDが採用されているが、この指紋データを安全に格納する先はT2チップだ。しかしそれだけではない。

システムが起動する際に、不正なソフトウエアではないことを確認するセキュアブート機能や、ディスクに書き込む際に暗号化しながら保存するOn-the-fly暗号化も、T2チップの重要な役割だ。

そのため、たとえばMacに外部ディスクをつないで不正なソフトウエアで起動しようとしたり、物理的にストレージを取り出してデータを吸い出すことを防いでくれるのだ。

11月7日に発売された新MacBook Airのゴールド(筆者撮影)

また13インチMacBook Proと新型MacBook Airでは、ディスプレーを閉じるとマイクが切断される仕組みもT2チップによって制御されている。これにより、コンピュータをスリープさせたつもりが不正なソフトによって会話が記録される、といった被害を防ぐことができる。

T2チップはハードウエアとして、セキュリティを高める重要な役割を担っている。このチップの存在を理由に「企業がMacを選ぶ」状況をつくっていきたい、そんなアップルの意欲がうかがえるのだ。

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