おおさか東線開業で人の流れはどう変わるか 新大阪―奈良に快速、沿線は大化けする?

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新駅の開設で沿線エリアが便利になるのはもちろんだが、おおさか東線にはもう1つ重要な役割が期待されている。

それは、既存の鉄道路線との新たなネットワーク形成だ。今回新設される4駅のうち2駅が、既存路線と近接している。南区間を含めた全体では、両端の新大阪・久宝寺を含めた14駅中10駅で、合計10路線への乗り換えが可能(改札外乗り換えを含む)となる。

JR京都線をまたぐ部分。前回取材時はコンクリートの打設前だったが今回はほぼ完成していた(筆者撮影)

従来は、大阪市中心部まで出て乗り換える必要があったことから、所要時間や運賃面はもちろん、混み合う列車に乗らずに済むというメリットも大きい。逆に、こうした利用者がシフトすることで、大阪環状線などの混雑緩和にも寄与するだろう。

また、奈良と新大阪を直結できるという点にも注目が集まっている。言うまでもなく国内有数の観光地である奈良は、しかしながらアクセスが決して便利だとは言えず、特に西日本各地から訪れるにはいささか不便な場所であった。

新大阪―奈良間に快速列車設定

おおさか東線の運行体系は、同線内を折り返し運用する普通列車に加えて、朝夕に新大阪―奈良間の快速列車を設定することが発表された。

梅田貨物線との合流部分。京都から白浜へ向かう特急「くろしお」が通過中(筆者撮影)

JR西日本では地元企業とも連携しつつ、奈良エリアの魅力向上とPRに取り組んでいることから、今後の展開として同区間への特急列車の運行もありうるだろう。

さらに、おおさか東線は2023年春の開業が予定されているうめきた新駅(仮称)へも乗り入れが可能な構造となっている。

この日の記者会見でJR西日本の川井正大阪支社長は「うめきた新駅への乗り入れや新大阪―奈良間の特急列車運転について、現時点で具体的な検討はしていない」と話したが、もし実現すれば梅田エリアにもダイレクトアクセスが可能になり、その効果は計り知れない。

沿線エリアはもちろん、大阪府東部から奈良にかけて、通勤・通学や観光の流れを変える可能性を秘めたおおさか東線。5年後・10年後にどう“大化け”しているのか、数カ月後に迫った全面開業が楽しみだ。

伊原 薫 鉄道ライター

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いはら かおる / Kaoru Ihara

大阪府生まれ。京都大学交通政策研究ユニット・都市交通政策技術者。大阪在住の鉄道ライターとして、鉄道雑誌やWebなどで幅広く執筆するほか、講演やテレビ出演・監修なども行う。

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