マツダ「CX-8」発売1年、掛け値なしの通信簿 3列シートSUVは市場にどう受け入れられたか

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前述したようにCX‐8は、当初ディーゼルターボエンジンのみでの販売開始となった。3列シートを備え車体が大柄になったことで、CX‐5のディーゼルターボエンジン車と比べ200kg前後車両重量が重くなる。このため、低い回転で力を出せるディーゼルエンジンにより動力性能を満たすことを期待したためだろう。

しかし、性能の良し悪しとは別に、ディーゼルエンジンへの好き嫌いは現実として消費者の間にはあり、選択肢を減らしていたということはできる。そこで、1年近くの販売期間を経て、ディーゼルターボエンジンを好む顧客にCX‐8がそろそろ行き渡ったといえるかもしれない。

マツダ「CX‐8」のエンジン部。当初の搭載はディーゼルエンジン「SKYACTIV-D」のみだった(撮影:尾形 文繁)

ちょうどその時期にマツダは商品改良を行って、CX‐8にもガソリンエンジン車を追加した。なおかつ、2012年の新世代商品群第1弾となるCX‐5以来、ガソリンエンジンはSKYACTIVの自然吸気エンジンで通してきたマツダだが、SKYACTIV初のガソリンターボエンジンも加えてきた。この発表は10月25日であり、その成果がCX‐8の販売にどのような効果をもたらしたかは、11月の時点ではまだわからない。

ガソリンエンジンだからこその”力強さ”

とはいえ、事前に試乗をした印象からすると、2.5リッターのガソリンターボエンジンであるにもかかわらず、排気量が3.0~3.5リッターの自然吸気エンジンを運転しているかのような力を感じ、ディーゼルターボエンジンでなくても満足できる仕上がりであると思った。さらに驚くべきは、ターボチャージャーによる過給を行わない2.5リッターの自然吸気ガソリンエンジンのCX‐8を運転しても、発進が力強く、それ以後の加速も滑らかかつ伸びやかで、ガソリンエンジンの気持ちよさを体感できたのであった。

ディーゼルエンジンを好まなかった消費者も、待ったかいがあったと言えるガソリンエンジンの性能である。

CX‐8という単体の車種で販売動向を探ると以上のようだが、マツダ車の販売全体からみると、CX‐5と合わせたこの2台で約5000台から上の月販台数を稼ぎ出している。それはベスト10入りが不可能ではない合計台数となるので、CX‐8の投入はマツダにとって確実な戦力となっている様子がうかがえる。他社も、近年のSUVブームが新車販売を下支えとなっており、カーシェアリングの場においてもSUVが投入される人気ぶりである。

一方、2012年の新世代商品群の戦略の中から、ミニバンがマツダからなくなった。そこに、3列シートとはいえCX‐8がどれほど後継の役を果たしているかは定かではない。

マツダは、かつて「MPV」(マルチ・パーパス・ヴィークル=多目的車)を1988年に米国で発売し、1990年から日本でも販売して、その後のミニバンの先駆けを作った。日本でミニバンブームが起こるのは1994年のホンダ「オデッセイ」からだが、それより前にマツダは国産ミニバンを作りはじめていたのである。

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