米外交政策は民主党の下院奪還でこう変わる 民主党の外交戦略、6つのポイント
●トランプ氏の通商政策に反対するか
共和党と同様、民主党内でもトランプ大統領の対中貿易戦争を巡っては意見が分かれている。一部の民主党議員は、自由貿易は雇用を生み出すと考えているが、鉄鋼業や製造業といった産業の労働者を守るため関税を支持する民主党議員もいる。
大統領は通商政策において相当な権限を有しているが、民主党はトランプ氏の行動に対する説明責任の強化を求めている。その中には、農業や製造業が集中する州、特に中西部に影響を及ぼしている中国への急激な関税引き上げも含まれている。
通商問題でたとえトランプ大統領を糾弾しなくても、民主党はいかなる貿易協定も労働基準や環境基準を確実に設けることを大統領に求めるだろう。
●米国をイラン核合意に復帰させるか
民主党は、自党のオバマ前政権が2015年にイランと合意した国際的な核合意からトランプ大統領が離脱したことに激怒した。だが、共和党がホワイトハウスを支配している限り、その方針を転換させるためにできることはほとんどない。
議員たちはイランに対して友好的過ぎると思われることを警戒している。とりわけ、イスラエルがイランに対して敵対的な姿勢を示しているからだ。イスラエルのネタニヤフ首相が米共和党議員との関係を深める一方、イスラエルとの強い関係は、共和、民主両党にとって最優先事項であることに変わりはない。
エンゲル議員はイラン核合意に反対した民主党議員の1人だが、トランプ大統領はイラン核合意や他の問題において欧州連合(EU)加盟国など重要な同盟諸国と協力すべきだと指摘する。「われわれがなすべきことは、これまで築き上げてきた同盟関係の修復を試みることだ」
(文:Patricia Zengerle 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)
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