「実家大好き45歳男」に惚れた女性の"相場観" 夫が結婚後も実家に戻って寝てしまう…?!

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意味がわからない。美佐さんは戸惑いながらもついて行った。そして、康彦さんの母親が「あなたはいつになったら結婚するのよ!」と息子を叱りつけているのを見て安心したと振り返る。この母親ならば息子の結婚に反対しないだろう。

翌月にはデート中に手をつなぐことに成功。さらに次の月には康彦さんの友だちによって強力に背中を押してもらう出来事があった。

「一緒に参加した音楽サークルの2次会で、私たちのことが話題になりました。結婚しないのかと聞かれて、康彦くんが『まだ親に言っていないから』と言葉を濁したら、『親は関係ないだろう。お前はどうしたいんだよ。男だろ!』と叱ってくれたんです。引っ越しや結婚式の段取りまで、その場で進めてくれました」

酒席での悪ノリである。しかし、そこまでしなければ康彦さんは前に進まないことも周囲はわかっていたのだろう。

無事に結婚をした今、美佐さんは「命を救われた」とやや大げさな表現で喜びを表現する。

「10年以上も婚活をしていて、何をしてもダメで、心に闇ができていました。自分はダメなんだという思いが心にしみ込んでいたんです。本当に苦しかった。そんな婚活からようやく逃れられたことが何よりも嬉しいです。どんなに努力をしてもダメなこともあります。私にとっては結婚相談所でのお見合いはダメでした。でも、婚活は止めなかったことが良かったのだと思います。知らない人と会うことからしかご縁は始まりませんから」

待ち望んだ結婚生活

ようやく自分の家庭を持てた美佐さん。もう5年早く結婚できていたら子どもが望めたかもしれないと後悔をしながらも、康彦さんをかわいがる生活に幸せを感じている。

一方の康彦さんは「環境変化に1年間は慣れませんでした」とあくまでも正直な感想を述べる。

「実家とは違って自分の部屋がありません。共同生活に疲れて、会社帰りに実家に寄って横になり、そのまま朝まで寝ちゃったこともあります。美佐ちゃんにすごく怒られました……」

そんな康彦さんも今では結婚生活に馴染み、土日は美佐さんと一緒にテレビを観たりしてゴロゴロしながら過ごしている。音楽会や旅行を2人で楽しむことも増えた。

マイペースな康彦さんとおしゃべりな美佐さん。似ているのは趣味ぐらいで、性格も特技も異なる。だからこそ、補完し合いながらお互いの老親も大事にできるのではないだろうか。時間をかけて、少しずつ、2人はいい夫婦になっていく気がする。

大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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