青森・八戸の朝市が圧倒的に支持される理由 八戸市の観光需要支える「市民が育てた文化」
観光庁が発表する、旅行・観光消費動向調査(2017年)によれば、訪日外国人旅行者数(インバウンド)は2869万人を突破し、前年比約19%プラスと今なお右肩上がりで上昇を続けている。一方、日本人国内延べ旅行者数は6億4720万人と一見高い数字に見えるものの、前年比にしてわずか1%プラスという数字が示すように、国内需要における観光は芳しくない状況が続いている。
そんななか、年々、日本人の延べ宿泊者数を増加させている場所が青森県八戸市だ。2012年69万人泊、2017年77万人泊という数字が示すように、ここ5年で宿泊者数は約12%増。さらに特筆に値するのが、宿泊客の約8割が八戸市近隣に再度宿泊した経験を持つというリピーター率の高さだ。
なぜ、それほどまでに八戸市に宿泊したくなるのか?
1日平均売り上げ6000万円の超巨大朝市
その大きな一翼を担っているのが、八戸港にて毎週日曜(3月中旬~12月まで)、夜明けとともに――夏場は朝3時頃から開催され、朝9時には撤収してしまう「館鼻岸壁(たてはながんぺき)朝市」だ。
同朝市は、全長約800メートルという広大な敷地に八戸市周辺から、300を超える店舗が軒を連ねる日本最大級の朝市としてにぎわいをみせている。農産物、海産物といった朝市ならではの生産品だけではなく、ラーメン、ピザ、淹れたてコーヒー、小籠包、パン、魚の炭火焼き、ビーフシチュー、かき氷、そしてなぜかミシンといった具合に、「ないものがない」と言っていいほどあらゆるものがそろう。
その光景は、あたかもアジアのナイトマーケットや、イスラム世界のバザールを彷彿とさせ、日曜のみの開催にもかかわらず平均2~3万人の集客数を誇り、1日平均売り上げ6000万円あまりを計上するほどにぎわっている。
「我々は県や市など行政に頼らずに、地元の農業者、漁業者といった生産者や小売関係者と連携して自主運営しています。民間主導だからこそ、枠にとらわれないことができる」
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