博多・辛子明太子を生んだ「変な会社」の真髄 ふくや創業者・川原俊夫氏、独自の経営哲学

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武浩さんは経営者や学生などに講演をする際、「ふくやという変な会社」と題して、自社の成り立ちや哲学について話している。

J2・アビスパ福岡が財政難に陥った2013年、ふくやは応援商品を販売して売上金約1776万円を全額寄付。今も支援を続けている(筆者撮影)

「10年前はまさに変な会社だなとポカンとされることが多くて……。今でこそCSR(=企業の社会的責任)やサステナブル(持続可能性)という考えが広まり、理解されるようになってきたと感じています。

当社の在り方は、最近提唱されている公益資本主義に近い気がします。

特に、戦後に自分たちを助けてくれた福岡という地に恩返ししたい、地域を元気にしたいという思いが強いですね」

【2018年11月07日16時00分追記】初出時、J2・アビスパ福岡への2013年の寄付金額に誤りがありましたので上記のように修正いたしました。

創業者の哲学を後世に残すために

「ふくや」はこれから、どこへ向かっていくのだろう。

「当社には支援してほしいという声はひっきりなしに届きます。1つずつ検討してお返事するのですが、それらをすべて断らずにやれるようになりたい」と武浩さん。明太子をもっと売りたい、会社を大きくしたい、などという一般的な目標とはかけ離れている……。

川原武浩(かわはら たけひろ)/株式会社ふくや 代表取締役社長。福岡県生まれ。1994年国学院大学卒業後、博多座を経て2004年にふくや入社。2007年取締役、2015年副社長を経て、2017年4月より現職(筆者撮影)

「食料品を売るためではなく、社会に貢献するために作った会社ですから。ただ、こうやってきれいごとを言い続けるためには、利益を出し続けなければいけない。

利益が出るからこそ税金を払い、社会にも貢献できる。昔は儲かっている商人が町に橋を架けたように、元気な会社が役に立つことをやっていけばいいと思うんです。私は創業者を直接知っている最後の世代となり、この独特な哲学を後世に引き継いでいく使命もあります」と表情を引き締める。

「うちは変な会社で、他社にこれを強要しようなんて思いません。ただ、できる人や会社が少しずつでも社会のために行動すれば、地域や日本はもっとよくなるのではないでしょうか」

佐々木 恵美 フリーライター・エディター

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ささき えみ / Emi Sasaki

福岡市出身。九州大学教育学部を卒業後、ロンドン・東京・福岡にて、女性誌や新聞、Web、国連や行政機関の報告書などの制作に携わる。特にインタビューが好きで、著名人や経営者をはじめ、様々な人たちを取材。

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