知らないと残念「災害保険」見落としポイント 火災より自然災害による被害の方が多いのに

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では、結局のところ、自然災害を想定して保険を選ぶ場合どうすればいいだろう。まずは、住居に関しては、保険の前に買う段階で、しっかりと自然災害の可能性を吟味すべきである。自然災害の発生確率が周囲に比べて低いことを確認してから家を買うことを勧めたい。

そのうえで火災リスクと、自然災害のリスクをきちんと網羅したプランにするとよいだろう。盗難や、破汚損事故などの補償はあってもなくてもどちらでもいい補償と言える。補償を増やせば保険料を引き上げる要因になるため、資金にゆとりのない人は最低限の備えがあればいいだろう。

保険があれば「準備万端」とは言えないが

自動車を持っている人は、駐車の際に地下を利用しないなど、最低限のリスク回避を念頭に置いておこう。車両保険は時価で保険金を支払うため計算するため、必要な金額を受け取れるとは限らない点が最大の注意点だろう。

生命保険に関しては、災害割増特約をオプションで追加できるか確認するといいだろう。万が一自然災害で亡くなった場合に、生活費以外に生活再建費の原資となる保険金が受け取れれば、遺族は安心して暮らしを続けていけるだろう。

そして、保険の活用がすべてではないため、そもそも保険に頼る可能性が低くなるように、マイホームの立地や階数などはきちんと確認しておこう。

2018年10月現在で、東日本大震災の影響による仮設住宅の入居者はいまだに7万人を超え、熊本地震の影響による仮設住宅の入居者は2.5万人にのぼる。もちろん、保険に入っているからと言って、必ずしもすぐに完璧な状態で、元の生活に戻れるとは言えない。しかし、いまだに10万人近い人が仮設住宅に住んでいるという事実を看過せず、自らの住まいについても改めてリスクや自然災害対策について考えてみてほしい。

高橋 成壽 ファイナンシャルプランナー

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たかはし なるひさ / Naruhisa Takahashi

寿FPコンサルティング株式会社代表取締役。慶應義塾大学総合政策学部を卒業後、金融系のキャリアを経てFPとして独立。お金を増やす、お金を守るという視点でFPサービスを提供。30代40代の財産形成、50代60代の資産運用、70代以降の相続対策まで幅広い世代に頼られている。「ライフプランの窓口」を企画運営。著者に『ダンナの遺産を子どもに相続させないで』(廣済堂出版)がある。日本FP協会認定CFP。

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