49歳キャスター小西美穂の華麗で泥臭い半生 「news every.」アンカーはここまで徹底する

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そして出向した日本テレビ報道局政治部では、東京の右も左も「平河町(自民党本部の旧所在地)」もわからないところから始まった政界取材。だが2006年、36歳の小西に『NEWS リアルタイム』のサブキャスターとして白羽の矢が立つ。さらに「女版・田原総一朗」との期待を背負って報道番組を仕切るようになり、BS日テレ『深層NEWS』では錚々たる各界著名人を相手にメインキャスターを3年半務め、現在の『news every.』へ至る。だがつねにキラキラと画面の中にいたわけではなく、「アリ地獄」の中でもがく日々もあった。

原点はラクロス

決して平坦でも平穏でもなかったキャリアを通して、小西が大切にしてきたものとは何か。「間合いだけは磨いてきたつもりです。間が悪いのがいちばん恥ずかしい」。兵庫出身の小西は話術に長けた関西人らしい表現を使う。

「長い間、話してくれない人から話をもぎ取ってくるのが仕事だった」取材記者出身の小西にとって、現在のキャスター業とは「最前線で泥水をすするような思いをして一次情報を取ってきてくれた取材部から、文字起こしや編集、大勢の人を通して回ってきたバトンを最後の最後に渡されて、視聴者に届ける仕事」。だからこそ、これまでの鍛錬を生かしてどんな難解なニュースもかみ砕き、わかりやすく削ぎ落とし、視聴者の呼吸に合うような間合いで話す。「取材のプロたちが1つの真相を連携して料理し、うまく届ける。視聴者に対して決して手は抜きません」。

取材のプロたちが1つの真相を連携して料理し、視聴者へ届ける最前線に、小西は立つ(筆者撮影)

『news every.』の出演者たちに、そのプロ意識は共通しているという。同じチームとして、視聴者へニュースを届ける最後の場と自覚する者同士が助け合い、ベストコンディションで出る。

「『今日は喉がおかしいんです』『元気ないんです』では済まされませんからね。いちばん集中力が高まった状態じゃないと。喉の調子が悪いと言ったら、鈴江奈々アナは『夜お休みのときに試してみてください』とシルク製のマスクをくれて。藤井貴彦アナも、重いものをランチに食べないようにしてるそうです。(人前に)出る役は顔を晒して責任も伴うし、それなりに批判や非難も受けることはあるけど、誰が楽で誰がそうじゃないなんてのは、取材者と出演者の両方を経験してきたからこそ、ないと感じます」

原点は、関西学院大学時代に主将を務め、打ち込んだラクロス。日本に入ってきたばかりの種目に面白そうと飛びつき、ルールや装備を自分で文献や人物に当たり、調べながら創部した。

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