「圧倒的に成功する新興企業」の頷ける共通点 ユニコーンになるベンチャーの見極め方

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──イーロン・マスク氏にも、アメリカのEVベンチャー、テスラの草創期に支援をしています。マスク氏は株式非公開化に関して混乱しているように見えます。

テスラには、残念ながらエンジェル投資をし損ねたんだ。ただ、イーロンから(大衆車の)「モデル3」の模型を見せられて、5万ドルほど支援をした。

彼は人類史上最もすばらしい起業家だ。イーロンがやっていることは社会的に正しいし、虎のようにタフなので、心配することは何もない。テスラ株へのカラ売りは、大きな間違いだ。

メディアも、面白おかしく書くのにイーロンが絶好の対象であることはわかるが、彼と同じ立場になればどういう感情を抱くか、考えてもらいたい。イーロンも人間なので、繊細な部分はある。

イーロンは、カラ売りを仕掛ける投資家たちとツイッター上でけんかをするのをやめ、テスラ車の所有者や、テスラ車を欲しい人ともっとコミュニケーションを取ったほうがいい。そうすれば、夢のような好循環が生まれるだろう。

ギャンブルなくして未来はない

──今後もエンジェル投資家を続けるのですか。

『エンジェル投資家 リスクを大胆に取り巨額のリターンを得る人は何を見抜くのか』(ジェイソン・カラカニス著/滑川海彦、高橋信夫訳/日経BP社/1800円+税/365ページ)書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

世界一のエンジェル投資家として、あと2つくらいはユニコーンを当てたい。ただ、最終的にはエンジェルではなく、普通の投資家として世界一になる。

──普通の投資家?

複雑な問題を解決し、世界を変えるために起業家が必要だからだ。政治や宗教のリーダーたちは、起業家に比べると世界を変えられていないし、時に悪い影響を及ぼすことすらある。

投資家自身が世界を変える仕事をできるわけではないが、起業家に燃料を投じることはできる。私は、世界から特に貧困と肉体労働をなくしたい。穴を掘るのが楽しいのなら話は別だが、嫌々掘る仕事は減らしたい。

──日本人もエンジェル投資家になれるでしょうか。

もちろん、可能性はある。日本人は、製品を作り、輸出することに優れている。起業家もたくさんいる。だがエンジェルが足りない。私の夢は、この本によって、半年後に再来日した際に国内で500人のエンジェルが育っていることだ。次のソニー、任天堂、ソフトバンクを作ってほしい。そのためにも「もっとリスクを取れ」「失敗しろ」が日本人へのメッセージ。ギャンブルなくして未来はない。

印南 志帆 東洋経済 記者

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いんなみ しほ / Shiho Innami

早稲田大学大学院卒業後、東洋経済新報社に入社。流通・小売業界、総合電機業界などの担当記者、「東洋経済オンライン」編集部などを経て、現在は『週刊東洋経済』の巻頭特集を担当。過去に手がけた特集に「半導体 止まらぬ熱狂」「女性を伸ばす会社 潰す会社」「製薬 サバイバル」などがある。私生活では平安時代の歴史が好き。1児の親。

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