東京「鉄道大改造」と五輪はどう関係するのか 渋谷や品川の再開発は2020年には終わらない

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1964年に開業した東海道新幹線は東京オリンピックの「レガシー」と言われるが…(髙橋義雄 / PIXTA)

オリンピックが近づいてきたこともあり、「レガシー」という言葉をよく聞くようになった。ここで言う「レガシー」は、オリンピックのような大きなイベントが会期後に遺すものであり、「遺産」と訳されることもある。

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1964年のオリンピック・パラリンピック競技大会(以下1964年大会)が遺した代表的な「レガシー」には、東海道新幹線や首都高速道路がある。もちろん、これらを建設する計画は大会招致前から存在したので、大会で使用した競技施設と同様に大会のために建設したと言うと語弊があるが、大会を機に整備されたことはたしかだ。当時の東京では交通インフラが今よりもはるかに貧弱で、戦後から増え続けた交通需要に対応しきれなかったので、新しい交通インフラが造られ、それが「レガシー」となった。

品川や渋谷の再開発は五輪と直接の関係はない

いっぽう、2020年大会が遺す代表的な「レガシー」は、晴海の選手村跡地を再開発してできる新しい街だ。1964年大会が遺したものと比べると規模が小さいのは、東京が成長期から成熟期に移行し、1964年のときほど社会基盤を整える必要がなくなったからだ。

鉄道に目を向けると、2020年における主な出来事には、品川新駅(仮称)の暫定開業や、乗り換えが不便だった渋谷駅の大改造、そして大会の競技施設に近い千駄ケ谷駅や原宿駅の改良工事などが挙げられるが、それらの規模は東海道新幹線の整備とくらべるとはるかに小さい。

しかも品川新駅や渋谷駅の周辺で進められる再開発事業は、2020年に完成するものではないし、2020年大会とも直接的な関係はない。

では、現在東京の各地で進められている再開発事業は、2020年の完成を目指したものではないのだろうか。筆者は拙著『オリンピックと東京改造-交通インフラから読み解く-』の取材として東京都都市整備局に聞いてみたところ、現在東京都で進めている都市計画は2040年代までを見通したものであり、2020年に完結するものではないという。実際に都市整備局が現在の都市づくりについてまとめた「都市づくりのグランドデザイン」(2018年3月更新)には、目標時期を2040年代に設定したことが記されている。

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