通勤ライナーとマンション価格の微妙な関係 「停車の有無」はどこまで反映されているのか
都心に勤務している人が家を買う際に気になる点の1つが通勤時間だ。主要ターミナル駅まで30分圏内の物件は割高感が強く、最近では郊外の物件も注目されるようになってきた。
とはいえ、満員電車に長時間揺られて郊外の自宅と都心の間を朝晩往復するのは、苦痛以外の何物でもない。そこで関心を集めているのが、追加料金を支払えば朝夕の混雑時でも座れる、いわゆる通勤ライナーである。
首都圏の私鉄では1992年から京浜急行電鉄が「京急ウィング号」の運行を開始。最近では今年2月に京王電鉄の「京王ライナー」、3月には西武鉄道の「拝島ライナー」が登場するなど隆盛が続く。今冬には東京急行電鉄も大井町線に有料座席指定サービスを導入する予定だ。JR東日本(東日本旅客鉄道)も総武快速線、東海道線、中央線などで展開している。
最近は1人2役の車両投入が目立つ
京急ウィング号の車両は特急列車のような2人掛けクロスシートで、日中も2人掛け通勤電車として使われた。近年では、昼間の時間帯は横に長いロングシートだが、通勤ライナー使用時は2人掛けクロスシートに転換される「1人2役」的な車両が増えている。京王ライナー、拝島ライナー、東武鉄道の「TJライナー」などの車両がこのタイプだ。
このように通勤ライナーを新たに導入する鉄道会社がある一方で、自社の有料特急列車を、ラッシュ時間帯に通勤ライナーとして活用する鉄道会社もある。新宿と箱根、江ノ島などの観光地を結ぶ小田急電鉄の「ロマンスカー」は、日中は観光客の移動手段として使われるが、ラッシュ時には座れる通勤列車「ホームウェイ号」として活躍する。同様に西武新宿と本川越、池袋と西武秩父を結ぶ西武鉄道の「レッドアロー号」、京成上野と成田空港を結ぶ京成電鉄の「スカイライナー」も朝夕は通勤ライナーに「変身」する。
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