「シエンタ」2列シート車が果たす意外な役割 「JPN TAXI」の補佐と「ノート」タクシーに対抗
トヨタ自動車が9月に実施した「シエンタ」のマイナーチェンジ(一部改良)で、従来の3列シート車(6人または7人乗り)に加えて、2列シート5人乗り仕様の「FUNBASE(ファンベース)」を新たに設定した。
2代目となる現行シエンタが発売されてから約3年。トヨタとして最小のミニバンであり、多人数乗車が大きな売りではあったが、シエンタ2列シートにも一定のニーズが見込まれる。背が高く、広々とした室内と両側スライドドアを備えたコンパクトカーとして考えると、乗用車としてはもちろん商用車としても使い勝手がいいからだ。
タクシー用車両としても注目されているシエンタ
「トヨタ『シエンタ』5人乗りが追加された事情」(2018年9月20日配信)で、執筆者の森口将之氏が触れているように、シエンタ2列シートが重宝されるのは福祉車両やタクシーとしての用途だ。このうち筆者は、タクシー用の車両としてシエンタが果たす役割が小さくないであろうということに注目している。
その役割は2つある。まずは、トヨタが1年前の昨年10月に発売したタクシー専用車「JPN TAXI(ジャパンタクシー)」が対応しきれないであろうニーズを満たす役割である。
JPN TAXIは、それまでトヨタが生産してきたタクシー専用車「コンフォート/クラウンコンフォート」に代わる車種。トヨタのタクシー専用車としては22年ぶりの新型車と位置づけられている。背が高く、後席にスライドドアを備えて乗客が乗り降りしやすい独特のハッチバックスタイルだ。それもそのはず、車体のベースは現行シエンタなのである。そして、新開発のLPG(液化石油ガス)ハイブリッドシステムを採用しており、燃費も19.4km/L(JC08モード)を誇る。
東京都心部では当たり前のように見かけるようになったJPN TAXI。トヨタのお膝元である名古屋市内などでも多く走っている。だが、「東京の隣接県や名古屋以外の地方に行くと、それほど見かけない」と自動車業界内外で言われている。
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