保育園「死亡事故発生率」が示す不都合な真実 午睡中の乳児死亡事故は防げなかったのか?
先ほど述べたとおり、保育施設での死亡事故は特に午睡中が多いと指摘されている。このことは国も十分承知していて、睡眠中の事故防止のために活用できる備品(ベビーセンサーやバウンサーなど)の購入支援策として、「保育園等における事故防止推進事業」に3億1000万円の予算を計上している。
ベビーセンサーは、睡眠中に無呼吸状態になると音などで教えてくれる。布団の下に敷くものや、乳幼児の背中に張り付けたり、オムツに装着したりするものもある。価格は2万円前後で、一部の病院などでも利用されているようだ。
一方で、保育園でのベビーセンサーの導入に対して「目視での確認を保育士が怠る」と懐疑的な見方もある。だが、目視によるブレスチェックは当然実施しつつも、センサーによるサポートがあったほうがいいのでは、と筆者は考える。
集団での午睡中、泣きだした子を保育士があやしているかたわらで、突然寝返りをする子がいることを考えると、機械の手助けがあることはリスク軽減につながるのではないかと思う。
保育園で二度と悲劇を起こすな!
子どもの死と言えば、東京都目黒区で起きた「結愛ちゃん虐待死事件」などが記憶に新しく、残念なことに日々多くの子どもたちが命を落としている。不慮の事故なのか、過失なのか、虐待なのか……子どもの死は原因の解明が難しいと言われ、予防策を立てづらい。
そこで、アメリカやヨーロッパなどの先進国では、子どもの死因を調査したデータを蓄積して予防施策に生かす制度として、「チャイルド・デス・レビュー(CDR:Child Death Review)」が法制化されている。
CDRは日本でも数年前から導入が検討され、2020年度までに制度設計を進めて導入したいと考えているようだ。一刻も早いCDRの創設や、保育士の処遇改善など、保育政策に関して国や自治体が解決すべき課題は多い。
もうこれ以上、小さな命を大人の不作為で失うことがあってはならない。保育に携わる関係者だけでなく、社会全体で本気で問題に取り組み、子どもの命が失われない社会をつくっていきたい。
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