駅時刻表には表れない「便利な駅」の見分け方 本数が多くても「使える」列車は少ないことも

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だがその後、東急は土休日ダイヤで、途中の二子玉川で渋谷方面行きの各駅停車に接続する大井町行き急行を毎時2本新設。さらにその後、従来は朝の上り限定だった準急を平日・土日の日中に毎時2本設定した。

東急田園都市線の日中ダイヤは大井町行き急行などの新設で有効本数が増えた(撮影:大澤誠)

これによって、渋谷への有効本数は平日毎時6本、土休日は毎時8本まで増えた。土休日ダイヤで見れば長津田駅発の運行本数は毎時12本から毎時16本へと1.25倍に増えているが、実際の運行本数に対する有効本数の比率は33%から50%へと1.5倍に増えた。

また、従来は運行本数が毎時8本なのに対して有効本数は4本しかなかった途中の急行通過駅も、すべての各駅停車から同じ途中駅で急行系列車に乗り継げるようになったことで、有効本数比率は100%になった。各駅停車と急行系列車の本数の比率が1:1になったからである。

これらの改善は、単純に列車本数を増やした以上の効果を生んだことになるのではないだろうか。

増発せず有効本数を増やした中央線

このように、実際に利用するうえでは運転本数以上に重要なのが有効本数だ。そして、運転本数を増やすことなく有効本数を増やすことも可能である。その例がJR中央線だ。

中央線は運転本数自体は変わらないものの、有効本数は増えた(写真:IK / PIXTA)

かつて中央線の立川以西の区間は、運転本数の割に有効本数が少なかった。例えば土休日の豊田駅上り12時台は10本と都心の地下鉄並みだったが、このうち6本は中野へ着くまでの間に後続の特快に抜かされる列車であり、中野より先を目的地とする人にとっての有効本数は特快3本と、立川で青梅線から来る特快に接続する快速1本の計4本しかなかった。

しかし2013年3月のダイヤ改正により、日中1時間あたりの特快の本数が平日は5本、土休日は6本まで増えた。既存の一部の快速を特快に置き換える形での増発だったので、運転本数は変わってはいない(むしろ時間・区間によっては少し減った)が、立川以西の有効本数は大幅に増えた。土休日の豊田駅上り12時台で比較すると、本数自体は9本に減ったものの、有効本数は特快4本と、立川で青梅線から来る特快に接続する快速2本の計6本まで増えたのだ。

これで、都心部へ行く人にとっては平均10分間隔で電車が来るのと同等の利便性にまで改善されたことになる。時刻表上の停車本数が多い駅が必ずしも便利な駅ではないことを示すビフォーアフターの好例である。

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