「神風」に反応。個人投資家はくじけない 今後のカギ握る安倍政権の決断

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11月11日、円安と株高を演出したアベノミクスは、長らく「氷結」していた個人投資家のマネーを活性化させたが、日本の産業構造が大転換する兆しを見せなければ、個人投資家のリスク選好度も再び低下しかねない。写真は都内で10月撮影(2013年 ロイター/Yuya Shino)

[東京 11日 ロイター] -円安と株高を演出したアベノミクスは、長らく「氷結」していた個人投資家のマネーを活性化させ、東京市場に躍動感が戻ってきた。リスク覚悟でリターンを求める投資家にとってはまさに「神風」に映ったようだ。

だが、足元で円安が止まると株価も上昇トレンドが消え、株式市場の出来高も一時の盛り上がりに欠ける展開が続いている。成長戦略が動き出し、日本の産業構造が大転換する兆しを見せなければ、個人投資家のリスク選好度も再び低下しかねない。個人マネーの活発化とアベノミクスの再スタートは背中合わせの関係にあり、カギは安倍晋三政権が握っている。

くじけない個人投資家

「ガンホーショック」──。10月30日、個人投資家は震え上がった。ガンホー・オンライン・エンターテイメント<3765.T>が前日に発表した2013年1─9月期連結決算は、営業利益が前年同期比28倍となったが、四半期ごとでは4─6月期の265億円から7─9月期は233億円と低下。主力のスマートフォン向けゲーム「パズル&ドラゴンズ(パズドラ)」に依存した高成長維持に限界が見え始め、失望売りが出た。

ガンホー株は同日、18.8%の急落。個人投資家の人気が高いガンホーの株価急落は、追い証発生への警戒感から他のゲーム関連株やネット関連株にも波及。ジャスダック平均<.NOTC>、東証マザーズ指数<.MTHR>ともに急落前のレベルを回復できずにいる。

アベノミクス相場の中で、新たに株式投資を始めたという30代の男性美容師は、5月にガンホー株を200万円分購入したが、インターバルをおかずに急落した。しかし、投資意欲は一向に衰えず、オリンピック関連株に投資していきたいと話す。

個人投資家のリスク選好度は、アベノミクス相場の下で確実に上昇した。民間団体や政府、日銀などで組織している金融広報中央委員会が7日に発表した2013年の「家計の金融行動に関する世論調査」によると、家計の金融資産に占める株式と投資信託の保有比率は合わせて13.9%と、2008年9月のリーマンショック前の水準に回復した。

昨年末以降の株高・円安に伴う評価額の上昇が家計の金融資産増加の主因だが、預貯金からリスク資産などにシフトさせた世帯も5.6%あった。特に有価証券を保有している世帯では11.2%と高く、リスク性資産への投資をより積極化させている。

マネックス証券では、昨年12月の衆院選後に資料請求が増え始め、今年1月から新規口座開設が増加したという。月間ベースの新規口座開設数は2013年5月にピークに達し、2012年10月時に比べて約3倍の開設があった。2012年11月まで1年間全く取引のなかった「休眠口座」も年明けから稼働し始めた。

マネックス証券・商品サービス部の豊嶋斉部長は、企業業績の改善や給与増を背景に「実際にお金は回り始めている」とみる。日経平均株価<.N225>は5月下旬の急落後、明確な方向感を見出せずにいるが、株式市場では循環物色が働いているため、大きく売買が落ち込むような展開はないとみている。

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