スルガ銀行、担当弁護士が次々に辞める理由 被害弁護団との交渉決裂で、株主代表訴訟か

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別の弁護士は、経営陣が交代したことで被害弁護団の要求を飲むことは一層難しくなったと指摘する。「旧経営陣の場合は、自らの行いの尻拭いという格好も付いたが、新経営陣となると、新たな損失を生み出す形になる」ためだ。

「地獄の底までついて行く」

このまま交渉が停滞すれば、決着は法廷へと移る。団長の河合弁護士はすでに私文書偽造の容疑でスルガ銀行の刑事告発を行ったと明らかにしたほか、「オーナーの中にはスルガ銀行の株主が多数存在するので、株主代表訴訟を提起していく」と二の矢三の矢を放っていく構えだ。

だが、被害弁護団に漂う手詰まり感は拭えない。スマートデイズはスルガ銀行に提出する預金通帳のコピーなどの書類を偽造していたが、その事実を契約時点で知っていたオーナーも複数存在する。司法が捜査に着手すれば、弁護団が守るべきオーナーにも捜査の手が及びかねない。

株主代表訴訟にしても、その趣旨は株主が会社に代わって役員の法的責任を追及することであり、仮に勝訴しても賠償金はスルガ銀行に入るため、オーナーが救われるわけではない。賠償によって株式の価値が上がったとしても、利益を享受するのは株主であるオーナーだけだ。別の弁護士は「あの手この手でスルガ銀行を揺さぶり、交渉の場に引きずり出すことが目的なのだろう」と語る。

「(スルガ銀行を辞めた役員が退職金を受け取り)平穏な老後を送ろうとしているが、そういうことは許さない」「きちんと(オーナーの)被害に向き合わない限り絶対に許さない。地獄の底までついて行ってやるという気持ちだ」

記者会見では弁護団の口から激しい言葉が飛び出した。だが幾年もの期間を要する訴訟はオーナーにとっても負担だ。オーナーの利益を守る一方で、振り上げた拳の落とし所を探ることも欠かせない。

一井 純 東洋経済 記者

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いちい じゅん / Jun Ichii

建設、不動産業の取材を経て現在は金融業界担当。銀行、信託、ファンド、金融行政などを取材。

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