MBA学長が「バスケチーム」を率いてみた結果 「赤字、成績も動員も最下位」を蘇らせた5原則
原則の3つめは「勝ち続ける戦略を構築し、実行する」だ。現場がいくら強くても、リーダーに戦略がなければ、いずれ負けてしまう。勝ち続けるためには、戦略が必要だ。
ロボッツが強くなるためには何が必要か。調べた結果、チームの強さと最も相関関係が強いものが判明した。それは選手の年俸総額だ。強くなるためには、年俸総額を上げて良い選手を獲得するしかないのだ。
ならば取るべき戦略の方向性は自ずと決まる。しかし、元は経営赤字で破綻したチームである。すぐには年俸総額を増やせない。そこで僕ら経営陣は、ある一定の割合で毎年年俸総額を上げ続けることを決めた。そのためには、われわれフロントがチームの売り上げを大幅にアップさせ続けなければならない。
当時のロボッツの年間売り上げは約8000万円。年俸総額では4000万円程度であった。一方、Bリーグで優勝するような強豪チームの売り上げは売上高10億円規模で年俸総額が3億円程度であることがわかった。これでは到底太刀打ちできない。
プロバスケットボールで収益を上げる方法は基本的に3つある。スポンサーの獲得、観客動員数の増加、グッズの販売やイベント、アカデミーからの収益だ。放映権はリーグが管理して分配される仕組みだ。
それらに力を入れたのはもちろんだが、その他にも収益の柱を育てるために、水戸市の都市開発や不動産投資事業もロボッツとして手がけることにした。その成果はすでに出ており、オーナー就任後の翌季には売り上げ1億7000万円、そして今季は3億2000万円を達成し、ロボッツ史上初の黒字となった。Bリーグで上位を狙えるチーム基盤が確立されたと言えるだろう。
TVもない!ラジオもない!
プロバスケットボールチームにとって観客動員数の増加は重要な課題だ。マスメディアによる宣伝や告知は、その有力な手段となる。
しかし残念なことに、茨城にはそれがない。47都道府県中、県域FMラジオ局がないのは2県のみ、県域民放テレビ局がないのは1県のみだが、そのいずれにも該当するのが茨城だ。だから他のチームのように、地元のメディアを使ってファンや観客動員数を増やすことが難しい。ではどうするか。
重要になるのが4つめの原則「変化に適応し、自ら変革し続ける」だ。近年のいちばん大きな変化と言えば、インターネットをはじめとするテクノロジーの急激な進歩にほかならない。この変化に適応し、自らそれを利用すればいいのだ。
ロボッツでは宣伝や告知は、ツイッター、フェイスブック、インスタグラムに資源を投入することにした。僕もSNSを駆使して来場を呼びかけ、ロボッツについてツイッターでつぶやいている人に返事を書き、「いいね」を押すことが、すでに日課になっている。
その甲斐あってロボッツは、Bリーグ全体のツイッター・リツイートランキングで4週連続首位になるなど、人気クラブを追い抜くほどのファンの支援を得るようになった。
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