「補助金頼りの起業支援」が失敗しまくるワケ 熱海復活を支えた「本当の支援」とはなにか
私自身、地域にUターンして起業して10年以上が経ちますし、またここ2年ほどは地域での創業支援に取り組む立場でもあります。自分自身の経験や、また熱海で起業する人たちに向き合って実感していることは、起業の初期段階に必要なものはお金ではないということです。
それよりも、地域で起業しようと思う人がつまずくのは、まずどうやって事業を構築していくのかという「やり方」がわからない、ということや、いかに自らの顧客を見つけ出すのか、ということです。
実はこれは2014年の『中小企業白書』にも記載されています。起業家が起業時に直面した課題として、4分の1が「特にない」で最も多く、それ続いて2位が「経営知識一般の習得」、3位が「販売先の確保」となっているのです。それは私たちの実感とも一致します。
ちなみに、課題の4位にようやく「資金調達」がくるという順番です。
まずは事業を構築し、顧客を見いだすことができれば、実際にサービスを提供し始めることができます。売り上げのメドも立ってくるので、金融機関からの融資でまかなうことができるのです。事業のファンがいれば、クラウドファンディングで資金調達することさえ可能です。
しかし何もわからないなかで、お金だけをもらって始めてもすぐに資金は尽きてしまいます。だからこそ、実際に事業を計画し、資金調達する前に、テストマーケティングを繰り返し、サービスや商品、事業に磨きをかけることが重要です。
お店を始める前にテストしてみる、サービスを始める前にテストしてみる、そのことによって、自分の顧客が見え、頭で考えているだけのときよりもはるかに事業のイメージが見えてくるのです。
大切なのは、いかに顧客や協力者を見つけ出すか
お店を始めたいという人も、ほとんどの人がまず物件探しや資金調達をどうするかから始めてしまいがちです。
しかし、どんな事業を行うのかというイメージを持っていないと、ふさわしい物件を見つけ出すことができません。そもそも、その事業に、物件、大きな資金も必要ないかもしれません。
実際に熱海で私たちが行っている創業支援プログラムでも、飲食店を開業しようと思ってきた方が、店舗が必要な飲食店ではなく、ケータリング事業を始めることに方向転換したことで動き出すことができました。ケータリングや出張料理のサービスこそが、熱海で求められていて、しかもそのほうが自らやりたいスタイルだったと気づいたことで、ケータリング事業を開始したのです。
私たちNPO法人atamistaと熱海市が官民連携で行っている熱海の創業支援プログラム「99℃」では、4カ月間のプログラムの期間を通じて、事業を練り上げていきます。
行政などが一般的に行っているような座学を中心にしたものとは違い、事業計画をブラッシュアップしていきながら、毎週のようにプレゼンテーションや事業相談を行います。
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