東急社長が語る田園都市線混雑解消の「秘策」 沿線の人口はさらに増えていきそうだが…

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──東急沿線では、鉄道やストアのほかに、インターネット、ケーブルテレビ、さらに最近では電気やガスの小売りも東急が行うようになりました。

ケーブルテレビ、インターネット、電話を手掛ける「イッツコム」はエリア内133万の対象世帯のうち、91万世帯が加入している。2016年にスタートした電気は約10万世帯が加入、また7月から受け付け開始したガスはすでに1万人以上の人に申し込みいただいている。さまざまなインフラをワンセットで提供するという展開を今後も続けていきたい。

もちろん、何でもかんでも東急というは嫌だという人もいるだろうが、こうしたサービスでたまったポイントを電車やストアでの買い物などほかのサービスで使えるので、お客様から「便利だ」というご評価は頂いている。

──渋谷では、新たにできる「渋谷ストリーム」にアメリカのグーグルの日本法人本社が入居するなど、かつてのITの街「ビットバレー」の再来を予感します。

渋谷駅の側で建設が進む35階建ての超高層ビル「渋谷ストリーム」(右)。2018年秋の開業を目指している(記者撮影)

そういう面は確かにあるが、われわれが標榜しているのは、「エンターテインメントシティ渋谷」だ。渋谷の顔のすべてがITというわけではなく、もっといろんな要素がある面白い街にしたい。

もう一つ標榜しているのは「世界の渋谷」。IT企業、起業家そして起業家を支援するインキュベーターが集まってくると、その周辺に世界中から人が集まる。その意味ではIT企業は大きなファクターになる。

収益性が高ければ沿線外にも進出する

──ゲリラ豪雨による浸水が心配です。

渋谷はすり鉢の底のような低い場所にあるので、浸水対策を講じている。渋谷駅東口の地下に巨大な貯留槽を整備して大雨が降った際は貯留槽に一時的に水をため、天候が回復した後に排水するという仕組みを整えた。

──渋谷駅周辺は現在、再開発中ですが、迷路のようにわかりにくいという声もあります。

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工事中なので、昨日と今日では地上への出口が違うということも起きている。移動性もそうだが、バリアフリーについても利用者にご迷惑をおかけしている。しかし、再開発が終われば、田園都市線、副都心線が走る地下2~3階から東京メトロ銀座線が走る地上3階までエレベーターやエスカレーターで結ばれるようになる。大変わかりやすく移動しやすいものになるので、利用者のみなさまにはご迷惑をおかけするが、もうしばらくお待ち頂きたい。

──近年は東南アジアでのマンション開発を進めていますが、鉄道事業の海外進出の可能性は?

沿線外で確実に収益が確保できそうな事業には積極的に進出する。海外における長期的な街づくり事業はその一つ。街ができれば、そこにバスや電車を走らせようという発想になるかもしれない。とはいえ、現地で鉄道運営のコンサルティングを行うといった程度なら否定はしないが、海外で鉄道を運行することまでは考えていない。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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