池袋・錦糸町に逆転された「大塚・両国」の反撃 繁栄から衰退、だが復活の兆しが見えてきた
こうして池袋駅は急速に発展。特に、池袋を地盤にする西武グループは総力を結集して池袋駅の開発に力を入れた。これが、大塚駅を大きく引き離すことにもつながった。
両国駅に対する錦糸町駅、大塚駅に対する池袋駅といったように動線の変化で新旧勢力が逆転する現象は決して珍しくない。
両国駅と大塚駅の巻き返しが始まる
しかし、悲運に見舞われた両国駅と大塚駅の巻き返しが、ここにきて少しずつ始まっている。
冒頭でも触れたように、両国駅は使用されなくなった3番線を活用。「B.B.BASE」が運行しない日でも、“ギョーザステーション”といったイベントを3番線ホームで開催。集客を図る。また、改札から3番線ホームまでの通路はギャラリースペースが開設されて懐かしい写真パネルが展示されているほか、3番線ホームは趣のある装飾が施されて一味違った雰囲気を醸し出している。
そして、2016年には駅舎を改装した複合商業施設「-両国- 江戸NOREN」がオープン。同施設は駅ナカや高架下の開発に強いJR東日本都市開発が担当した。この施設内には“相撲の街・両国”をアピールするように土俵が配置されているが、これは単なるオブジェではなく、イベントスペースとしても活用される。
東京都墨田区に立地する両国駅は、前述した総武鉄道の流れをくんでいることもあって、管轄はJR東日本千葉支社となっている。千葉支社の担当者数人に両国駅の開発について話を振ったことがある。彼ら・彼女らは決して明確な言葉にはしないが、言外には本社や東京支社への対抗心が感じられた。両国駅の拠点化は、その一端でもある。
もうひとつの悲運駅だった大塚駅も、2009年に駅を改築。改築工事によって南北の自由通路が開設されたほか、小規模ながら駅ナカが造られた。
また、自由通路完成後も駅の改築工事は続き、2013年に南口に複合商業ビルが竣工。同複合ビルには、JRグループ「アトレヴィ大塚」がオープンしたほか、保育所やオフィスビルが入居している。大塚駅の拠点化は着々と進められているが、そうした影響は駅の外にも波及している。
そのひとつが、観光業界・ホテル業界の風雲児でもある星野リゾートによる都市型観光ホテルのオープンだ。
今年5月9日、大塚駅前に星野リゾートが北海道旭川に次いで国内2番目となる都市型観光ホテル「OMO5 東京大塚」をオープンさせた。星野リゾートの新たな戦略が、大塚駅全体を盛り上げることは間違いない。
また、これまで狭くて使いづらかった駅前広場が2018年に拡張リニューアルした。毎夏、大塚駅前では阿波おどり大会が開催されているが、駅前広場はその会場でもある。そのほか、今後はさまざまなイベント会場としても使用される。区民・都民のみならず、ここに多くの人が集うことだろう。当然ながら、大塚駅の活性化が見込まれている。
両国駅も大塚駅も逆襲ののろしをあげたばかり。そのため、錦糸町駅や池袋駅からにぎわいを奪還するまでには至っていないが、確実に地殻変動は起きつつある。
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