「自分に似合う服」そんな伴侶を見つける方法 料理に「愛情」を入れてくれる夫を見つけた

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意味不明の関係に業を煮やした理佐さんは、自分から提案して正則さんと会うことにした。すると、意外な好印象を受けた。

「私の話をうんうんと聞いてくれるんです。この年齢でクセのない独身者は珍しいですよね。誠実な雰囲気にも好感を持ちました」

物事は進むときにはすんなりと進むものである。正則さんとは何の障害もなく結婚することができた。結婚は洋服選びに似ている、と理佐さんは指摘する。

「たとえ高級ブランドでも自分に似合わないと浮いてしまいます。(ハイスペックの)陽一さんは私にとってはそんな感じだったのでしょう。でも、着心地がよければそれでいいわけではありません。やっぱり世間体もあります。周囲から見てもお似合いな夫婦になりたい。好みじゃなかったけれど羽織ってみたら意外と私に似合った服、それが正則さんです」

ショーンさんとの恋愛でひどい目にあった理佐さんの言葉だけに重く感じる。ただし、正則さんもすべてが完璧なわけではない。理佐さんは子どもが欲しく、正則さんにお願いをして2人とも不妊治療を受けたが、正則さんのほうに「子種」がないことがわかって断念。痛い手術までして治療を受けてくれた正則さんに恩義を感じつつ、理佐さんは子どもをあきらめた。

我慢できないこともある。正則さんは極端に口下手なのだ。結婚前、彼の気持ちがわからず、理佐さんが「これって付き合っているの?」と問い詰めて彼が黙ってうなずいたのが交際スタートだった。結婚した今でも、寡黙すぎる正則さんに腹が立つことがある。

「私は夜勤で家を空けることも少なくありません。彼は一切干渉せず、連絡もして来ません。私のほうから連絡しなかったら関係が終わってしまうのではと不安になるぐらいです。たぶん、前の奥さんも同じような不満が原因で彼と別れてしまったのだと思います」

おいしかった煮物の秘密

それでも理佐さんは「1人じゃない」という安心感はかけがえがないと語る。料理を作ったとき、正則さんがほぼ無言で食べまくる姿も「犬だったら尻尾を振っている」と感じることもある。

「行動力はある人なので、旅行の計画などは綿密に立ててくれます。きっと私と一緒に行くのが楽しみなんだろうな、と思うとうれしくなりますね。2人で行くからこそ見ることができる風景もあります。人生が豊かになったなと感じる瞬間です」

建設会社勤務の正則さんは休みの日は料理を作ってくれる。一緒にスーパーに買い物に行っても、正則さんはほとんど何もしゃべらない。煮物がおいしかったので、「何が入っているの?」と問いかけると正則さんは恥ずかしそうにひと言だけ答えた。

「愛情」

お互いに過去にはいろいろあった。今だってケンカをするときもある。でも、理佐さんと正則さんは穏やかな愛情でしっかりと結ばれている。

大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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